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茨城・鹿島港防波堤、事故死82人 釣り人侵入、後絶たず 関係機関 命優先、呼びかけ

74人が死亡した鹿島港南防波堤の入り口。立ち入りは禁じられている=神栖市北浜
74人が死亡した鹿島港南防波堤の入り口。立ち入りは禁じられている=神栖市北浜


茨城県の鹿島港内で立ち入り禁止区域に侵入した釣り人が波にさらわれたり、海中に転落したりする事故が後を絶たない。侵入者が相次ぐ南防波堤(南堤(なんてい)、同県神栖市)ではこれまでに74人が死亡。同港北側の中央防波堤でも8人が命を落としており、関係機関が「命を守る行動を」と呼びかけている。

県鹿島港湾事務所によると、外洋に面した南堤は全長約4.8キロ、幅6~25メートル。水深は深い所で25メートルになる。1967年の一部完成当時から立ち入り禁止で、入り口には有刺鉄線が張り巡らされた高さ約2.7メートルのゲート。さらに海側の消波ブロックまで大きく張り出した鉄製の柵もある。

入り口脇の看板には「立入禁止」「非常に危険」の文字。周辺では今年2月にも死亡事故があり、看板の「73名の死亡者」の文字は近く書き換えられる予定だ。

港内の大部分は関係者以外立ち入り禁止で、釣りが認められているのは鹿島港北側の民間施設「鹿島港魚釣園」のみ。しかし、港内や南堤、中央防波堤の付近ではクロダイやヒラメ、イナダなどさまざまな魚が釣れるスポットとして知られ、県内外から訪れる釣り人が危険を冒して侵入するケースが相次ぐ。

同事務所や第3管区海上保安部によると、南堤入り口ゲートの合鍵が出回っているとみられ、定期的な鍵の交換を余儀なくされている。以前は5キロ近い南堤の移動用とみられる原付バイクが運び込まれたこともあったという。

巡視で侵入者が見つかることも少なくなく、同事務所の担当者は「防波堤の先へ行くほど波をかぶりやすくなる。命を懸けてまですることなのか」と訴える。

港内では防波堤以外の釣り禁止エリアにも多く訪れる。4月上旬に転落事故が起きた岸壁などでは同下旬、釣り人十数人が来訪。うち一人は「キスやイシモチが釣れる。車で来られるし、釣りやすいスポット」と話した。

港内の釣りについては、県警神栖署や鹿島海上保安署もパトロールを実施。「水難事故は実際に起きている。命を守る行動をしてほしい」と呼びかけている。



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