「協力隊」獲得へ町の魅力伝える 茨城・城里町 体験型バスツアー
■県内外17人参加 イモ苗植えや古内茶見学
地域おこし協力隊の活用に力を入れる茨城県城里町は11日、新たな協力隊員の募集に向けて、都市住民を対象に町の魅力を知ってもらおうと、「町の魅力体験型バスツアー」を実施した。ツアーには首都圏5人を含め同県内外から17人が参加し、現役やOBの地域おこし協力隊員と交流しながら、サツマイモの苗植えや古内茶のほ場見学などを楽しんだ。
同町は「地域おこし協力隊」制度を農地の担い手や移住・定住策として活用している。ツアーは、町がNPO法人ちいきの学校(水戸市)と連携して企画。「地域と人、人と人が農業でくっつく町、城里」というコンセプトを定め、事業名を「くっつく」とした。10月、11月にも催し、3回シリーズで展開する予定だ。
この日は午前中、同町上青山にある協力隊の畑で、マルチングシートを張った畝に、サツマイモの苗を植える作業を体験。参加者は、現役隊員に要領を教わりながら、マルチに穴を開けて、苗を差し入れた。参加者が作業を進めながら、町での生活について、隊員に質問し、情報交換する姿も見られた。
昼食は、那珂川河川敷のカフェ「マーシーズコーヒー」(御前山)で、地元素材を使ったメニューを味わう。午後は古内茶を生産・販売する「高安園」(下古内)で新茶の収穫作業や製茶工場を見学、試飲もした。最後はかやぶきの古民家で登録文化財の「島家住宅」(上古内)で薫蒸(くんじょう)作業を見学し、庭先にある徳川光圀ゆかりの「初音茶」のほ場で茶摘み体験も行われた。
移住に興味があるという川崎市の吉田麻衣子さん(35)は「那珂市の移住ツアーにも参加したことがある。きょうは協力隊員とおしゃべりできたのがよかった」と話した。
町では2017年度から地域おこし協力隊員を採用。元隊員のうち8人が町に定住、就農している。現在活動中の隊員は8人で、このうち5人の委嘱期間が24年度で終わることから、町は同数程度の新規採用を期している。ツアーは、新たな隊員獲得につなげる戦略の一環。
町の担当者は「ツアーで来て町を好きになってもらう。その中から1人でも2人でも、城里町で協力隊をやってみたいと思う人が出てきてくれればと期待している」と話した。
今後2回のツアーも、サツマイモを絡めた企画とする見込みで、10月には収穫体験、11月には販売体験を織りまぜたプログラムにする予定だ。