茨城空港でビジネスジェット初運航 試乗会 羽田まで30分
茨城空港(茨城県小美玉市)で発着が解禁されたビジネスジェット(BJ)が25日、初めて運航された。旅行会社の試乗会として企画され、羽田空港との間を片道約30分で結んだ。試乗した経営者たちは「ストレスなく快適に移動できる」と利点を強調。運航業者は利用拡大の鍵に、専用の動線や施設整備などによる利用者の待遇向上を挙げた。
企業や富裕層が商用目的で使用するBJは、移動時間を大幅に短縮でき、発着時間や目的地を自由に調整できる強みを持つ。茨城空港では昨年10月、民間機の発着枠を原則1時間1着陸としてきたルールが緩和され、BJ乗り入れが可能となった。
試乗会は、茨城周辺のビジネス客らのBJ需要を見込む「スカイトレック」(東京)が25、26日の両日で計6往復を企画した。使用したジェット機「サイテーションC510マスタング」は定員4人で、時速約700キロ、航行距離約千キロ。料金は130万~160万円台で、2時間以内の移動需要に対応できるという。
第1便は午前9時40分ごろに羽田を出発し、同10時15分ごろに茨城に到着。初めてBJを利用した経営者3人が利便性や効率性を確かめた。
東京都世田谷区、生駒龍史さん(38)は「空港の手続きや待機時間がないことも含め、快適の一言に尽きる」と絶賛。福岡市、立川智子さん(51)は「(機内を)プライベート空間と見立て、移動しながら商談の場として使う予定だ」と話した。
スカイトレックの永堀敬太社長(43)は、茨城空港について「関東第三の拠点」と位置付け、需要拡大に期待する一方、滑走路と空港設備を直接結ぶ通路や休憩所など、専用の動線や設備が充実した海外と比較し、「県や関係機関と協議を進めたい」と話した。
茨城県はBJも含めた民間機の就航や増便を図るため、空港機能拡大の必要性や時期、規模などを示す「将来ビジョン」を2024年度にまとめたい考え。専門家や関係機関による検討会を今夏にも開く方針だ。