eスポーツ高齢者熱戦 ねんりんピック正式種目 水戸で茨城県予選、普及に注力
コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」が、高齢者のスポーツ・文化の祭典「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」で初の正式種目となり、茨城県予選が1日、水戸市内で行われた。eスポーツは、高齢者の生きがいづくりとして全国的に注目されており、県や県社会福祉協議会は体験会など愛好者の裾野を広げる活動に注力。正式種目採用を契機にさらに普及を図りたい考えだ。
今年のねんりんピックは10月に鳥取県で開催。この日の県予選はセキショウ・ウェルビーイング福祉会館(同市千波町)で開かれ、全国への切符を目指し86歳までの男女24人が日頃の練習の成果を競い合った。ゲームは、音楽と画面表示に合わせて太鼓をたたき、その正確性がスコアに反映されるリズムゲーム「太鼓の達人」。出場者たちは真剣な表情でバチを振り下ろしていた。
無作為に選ばれた課題曲で競技し、2戦の合計得点で上位8人が決勝トーナメントに進出。決勝は1戦目から両者高得点の好試合となり、水戸市の山田信子さん(74)が同市の松野近さん(72)との接戦を制した。
山田さんは数年前に参加した「eスポーツ体験会」で、ゲームは若者でなくても楽しめると実感。以来、交流や練習ができる「eスポーツサロン」に参加してきたという。本番では「練習通りの力を発揮できた」と笑顔を浮かべ、「リズムを取ることが楽しい」とゲームの魅力を語った。
県によると、県内総人口に占める65歳以上の割合は昨年9月時点で過去最高の30.8%。eスポーツは近年、高齢者の生きがいづくりの一つとして注目され、県や県社協が主体となって「体験会」や「サロン」を開催し、愛好者の裾野拡大に取り組んでいる。
2022年度以降、体験会は市町村などの協力を得て年約10回実施。サロンは水戸市内で毎月実施していたが、24年度からは月2回に拡大し、毎回15人程度が参加している。
高齢者へのeスポーツの浸透は道半ば。県長寿福祉課の担当者は「正式種目採用を契機として、さらに普及に努めたい。まずは楽しさを伝えることが大切」と話した。