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パスポート発行3倍増 23年 茨城県内コロナ反動 海外旅行は回復遅れ



2023年に茨城県内の市町村が発行した一般旅券(パスポート)の件数が5万8927件に上り、前年の3倍増と急回復したことが3日、県のまとめで分かった。コロナ禍で申請が落ち込んでいた反動で、5類移行後に急増したとみられる。ただ、海外旅行者数の回復は遅れており、旅行業界は「今後の円安の状況次第」と動向を注視する。

県旅券室によると、県内で同年に発行した一般旅券の件数は、前年に比べて3万8782件増加した。新型コロナウイルスの感染拡大で20年以降は年間8千~2万件ほどと発行が減少していたが、23年はコロナ禍前となる19年の8割ほどに戻った。都道府県別では12番目に多かった。

申請件数は5万9288件。月別では5類移行が決まった1月から増え始め、ピークの5~8月は6千件前後で推移。有効期間別では、「10年」が全体の6割超に当たる3万6066件、「5年」が1万7715件、「12歳未満(5年)」が4475件だった。

一般旅券の申請や発行は、県が08~10年度までの3年間で全市町村へ権限移譲している。申請件数を市町村別に見ると、最も多かったのは、つくば市の1万849件で全体の約18%を占めた。次いで、水戸市5948件▽土浦市3367件▽ひたちなか市3364件▽日立市2970件▽守谷市2673件-と続いた。

昨年3月から始まったマイナンバーカードを活用した電子申請は1870件と全体の約3%にとどまり、利用が伸び悩んだ。県は「パスポートの有効期限が残っているという条件での更新が対象となるため、利用が限定的だったのではないか」とみている。

政府観光局の統計によると、23年の日本人出国者数は962万人で前年の3.5倍に増えたものの、2008万人だった19年の5割に満たない。旅行大手のJTB(東京)は23年の旅行動向を「物価高や円安、一部地域での情勢不安などで回復が遅れている」とし、24年も「回復は緩やかであることが想定される」と見通す。

県内在住者らの出国状況について旅行会社タビットツアーズ(同県水戸市)の柏村祐二社長は、「企業の出張などが増えている一方で、個人旅行の需要はコロナ禍前に戻り切れていない」と指摘。円安を背景に「中高年世代を中心に、コロナ禍前の旅行費用と比較して割高だと感じており、回復は今後の円安次第だ」と分析している。



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