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元校長 路線バス運転手に 茨城・鹿嶋の榎本さん 「地域のため」訓練励む

小学校の校長を退職し、バス運転手となった榎本裕基さん=潮来市洲崎
小学校の校長を退職し、バス運転手となった榎本裕基さん=潮来市洲崎


バス業界で運転手不足が深刻化する中、茨城県神栖市の市立軽野小校長を3月に退職した榎本裕基さん(60)=同県鹿嶋市平井=が、バス運転手に転身した。4月に関東鉄道に入社し、現在は潮来営業所で見習いとして運転技術の習得や接客の研修に汗を流す。早ければ今年秋にも路線バスの運転手としてデビューする予定だ。

榎本さんは役職定年を前に、第二の人生の送り方を模索。再任用で引き続き教育に携わることもできたが、教員時代に培ったコミュニケーション力と体力を生かし「地域のために活躍できたら」とバス運転手を選んだ。

自身と路線バスとの付き合いは高校時代にさかのぼる。当時は鉄道がなかったため、自宅のある鹿嶋市から同県鉾田市内の高校への通学手段は路線バス。「大きなバスを見事に操作する運転手に心の中でずっと憧れていたのかもしれない。バスにとても世話になった」と振り返る。

榎本さんは同社の説明会を聞いて運転手になろうと決意。大型2種免許を取得するため、昨年9月から教習所に通うなど準備を進めてきた。

退職時の離任式でバス運転手になることを知らせると、児童は驚きながらも拍手で新たな門出を祝ってくれた。新たな道を選んだ自身の姿を見せることで「(子どもたちに)夢を持って進む大切さが伝わればうれしい」と期待を寄せる。

入社後は潮来営業所に配属され、現在は一人前になるため研修の日々だ。先輩たちがハンドルを握るバスに同乗し、安全第一の運転技術をはじめ、接客業務や機械操作などを学ぶ。運行ルートの習得や道路の特徴を覚えるため、自身もハンドルを握る。

路線バスは全長9メートルと長く、曲がり方や駐車、バックなど、独特の技術が必要。「乗用車とは当然感覚が全く違う。早く慣れたい」と意気込む。

将来の目標は、路線バスよりもさらに大きい全長12メートルの高速バスの運転手だ。「いつの日か、教え子を乗せることができれば」。そんな夢を抱きながら、今後も訓練に励むつもりだ。

同社によると、新型コロナウイルス流行拡大の影響で、バスの運行本数が減り、退職する運転手が増加。その後、コロナ禍が収束傾向に入っても、運転手不足が続いているという。



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