物流やバス DX化支援 機器導入 茨城県が上限200万円
貨物運送や乗り合いバス事業者を対象に、茨城県はデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用した業務効率化を支援する。物流停滞などが懸念されている「2024年問題」の解消が狙い。新システムを導入する事業者に、200万円を上限に費用の半額を補助する。事業者の申請を受け付ける。
県中小企業課によると、補助の対象とするのは、効率化を目的とした新たなシステムや機器の導入にかかる経費。予算額は貨物運送、乗り合いバスを合わせて総額5000万円。1事業者当たり200万円を上限に、費用の2分の1を補助する。導入後の効果を把握し、業務改善に関わる周知活動にも生かす方針だ。
貨物運送は運行記録を自動で行う「デジタルタコメーター」や配車計画システムなどを想定する。トラックの荷台後部に装着する荷物の積み降ろし用の昇降装置など、荷役作業の時間短縮となる機器も対象とする。
乗り合いバスでは勤怠やアルコール検査、体調管理を遠隔で行うIT点呼システムの導入を支援。運転者名や走行距離を記録する乗務日報の自動作成システムなども含まれる。
県内に事業所がある中小貨物運送事業者や中小倉庫事業者が対象となる。貨物運送事業者は、取引適正化に努める「パートナーシップ構築宣言」を行うことが条件となり、県は約15事業者を見込む。乗り合いバス事業者は県内に営業所のある10事業者への補助がすでに決まっている。
4月にトラックやバス、タクシー運転手に残業時間の規制が設けられた。各業界で労働環境の改善が進む一方、輸送能力の低下や人手不足が深刻化している。物流業界では荷役作業の長時間化、バス業界では運転手のなり手不足や高齢化が喫緊の課題とされてきた。
県内の中小事業者は、人材確保のための賃上げを優先し、DXによる業務効率化に着手できていないケースも多いという。同課の担当者は「業務の効率化を後押しすることで、持続可能な物流の構築を図りたい」としている。貨物運送事業者の申請受付は7月1日に始まる。