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盆栽の盗難相次ぐ 海外人気便乗 外国人組織関与か 茨城県内事業者「対策に限界」

約500鉢の盆栽を管理する市毛博さん=水戸市内
約500鉢の盆栽を管理する市毛博さん=水戸市内


海外での盆栽人気に便乗した外国人組織によるとみられる盗難被害が各地で相次いでいる。全国では昨年2月以降、11府県で少なくとも25件が確認されており、茨城県内では今年3月、盆栽を盗んだとしてベトナム人の男が逮捕された。各地の盆栽園は柵や警報機など防犯対策に取り組むが、盆栽は屋外管理が基本。県内事業者には「対策に限界がある」と困惑が広がる。

盆栽は国内では愛好家が高齢化して需要が低迷する一方、鉢の中で大自然が表現できる魅力が受けて欧州や東南アジアを中心に人気が高まっている。盗難被害は以前からあったが、近年は複数の盆栽を一度に持ち去る手口が頻発している。

全国の盆栽事業者でつくる日本盆栽協同組合(東京)では昨年2月以降の被害情報を集約し、これまでに茨城、栃木、山梨、大阪など少なくとも11府県で25件ほどの被害を確認した。

県内では今年3月、土浦市の70代男性方から盆栽7鉢(約215万円相当)が盗まれる被害があり、土浦署はベトナム人の20代男を窃盗容疑で現行犯逮捕。現場では複数の男が目撃されており、同署で行方を追っている。

日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、2020年10月の欧州連合(EU)への黒松輸出解禁などをきっかけに、盆栽の海外人気が高まり、23年の輸出額は20年の2.7倍の約9億1千万円に上った。

盆栽は屋内では生育不良になるため、屋外管理が基本。防犯対策は難しいのが実情だ。

水戸市で盆栽園を営む市毛博さん(76)は、自宅敷地内で約500鉢を管理。海外人気の高い黒松や五葉松、梅を取り扱い、顧客から預かっている盆栽も複数あるという。

市毛さんは、日中は盆栽の手入れをしながら被害防止に目を光らせ、夜間はセンサーライトや柵、警報機などで対応する。目を離すときは不安がよぎるが、「寝ないわけにもいかない」と苦渋の表情を浮かべた。

県警によると、県内で確認された被害は、夜間や早朝に侵入し持ち去る犯行がほとんど。県警捜査3課は「対策の抜け穴を狙われている。機械警備などを検討し、対策強化を」と呼びかけている。



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