空手の全日本強化選手として活躍してきた茨城県古河市出身の染谷香予さん(33)と真有美さん(31)姉妹が、広域通信制・単位制の晃陽学園高(同市東)の体育教諭に就任した。保健体育と武道のほか、来年度新設されるコースで専門科目の「空手道」を担当する。教師としての新たな出発に2人は「空手だけでなく、広く授業を通して、生徒たちの心身の育成に努めたい」と話す。

同校は全日制と通信制があり、全日制は高校卒業資格と専門資格の習得に力を入れている。調理や美容などの専門科目では専門知識と技術習得のための実習が充実。一般科目では教養として書道や武道がカリキュラムに組み込まれ、全生徒が取り組んでいる。

2025年度から、警察・消防・自衛隊などの公務員を目指す「危機管理コース」が新設される予定で、同コースは専門科目として空手道を必須としている。同校を運営する学校法人晃陽学園は、武道実習を指導する専門家として2人を招いた。6月3日に正職員として採用された。

姉の香予さんは、世界空手道選手権大会優勝などの戦績を持ち、妹の真有美さんは20年東京五輪空手女子組手61キロ級日本代表。香予さんは23年11月、真有美さんは同年3月に競技を引退した。2人は大学在学中に高等学校教諭一種免許(保健体育)を取得。同学園の斎藤行信理事長は「世界を見てきた2人。その経験をこれからは教師として子どもたちに伝えていってほしい」と期待を寄せる。

6月25日に行われた授業では、武道場に集まった道衣に身を包んだ1年生約30人を前に、準備運動から、突きや足の運びなど、空手の基本の動きを指導した。麦倉聖成さん(15)は「世界で活躍してきた先生に教わることは、貴重な経験になる」と喜ぶ。

香予さんは「これまでの経験を教師として伝えていければ。生徒一人一人に向き合っていきたい」、真有美さんは「心身の育成に重点を置きたい。夢を持って高校生活を送る生徒たちを応援していきたい」とそれぞれ話した。