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田んぼダム 整備広がる 水害軽減へ水田で貯水 茨城・常総市

田んぼダムの取り組みとして豪雨時の排水量を調整する管が設置された水田=常総市三坂町
田んぼダムの取り組みとして豪雨時の排水量を調整する管が設置された水田=常総市三坂町


水田が持つ貯水機能を生かして豪雨時の被害を軽減する「田んぼダム」の取り組みが茨城県内で進んでいる。地域の防災対策として農林水産省などが推進しており、2015年に鬼怒川の堤防が決壊した常総市では既に約50ヘクタールの水田で整備を終えた。十分な効果を発揮するには広範囲での整備が必要で、市が取り組み拡大を進めている。

田んぼダムは、田んぼの水を農業用水路へ流す落水口に板や管を取り付けることで排水量を抑制し、雨水を一時的にためて河川の急激な増水を防ぐ仕組み。下流地域の洪水被害軽減に加え、排水機場の稼働低下による長寿命化などの効果が期待される。

15年9月の関東・東北豪雨に伴う鬼怒川氾濫で大規模な被害を受けた常総市の三坂地区では、区画整理事業に伴い約50ヘクタールの水田で田んぼダムが整備された。

同地区では水田の1区画ごとに、側面に穴の開いた塩化ビニール管が設置されており、豪雨時には穴の高さまで水田内で貯水。穴は直径5センチほどで用水路への落水口より小さく、水田からの排水量が抑制できる。

田んぼダムを整備した農業、飯田光良さん(68)は、15年の常総水害を経験。田んぼダムについて「水害対策で協力できることがあればと思い整備を決めた」と話した。

田んぼダムは同市のほか、笠間市や茨城町の一部でも整備されている。

常総市は6月、田んぼダムの取り組み拡大に向け、災害時の相互応援協定を結ぶ下妻市、八千代町と研修会を実施。農林水産省関東農政局の職員らが田んぼダムの仕組みや効果を解説したほか、整備に必要な資材費の補助が受けられる国の支援制度なども紹介した。

市などによると、田んぼダムは稲の生育との両立が必要で、1区画当たりの貯水能力も低いため、地域全体で取り組むことが重要という。

市農業政策課は「各地で田んぼダムを整備してもらえるよう、効果や役割をしっかり伝えていきたい」としている。



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