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《ニュースを追って》大竹海岸、浸食急拡大 護岸ブロック流失も 茨城・鉾田

今季の開設が見送られた大竹海岸鉾田海水浴場=鉾田市大竹
今季の開設が見送られた大竹海岸鉾田海水浴場=鉾田市大竹


茨城県鉾田市で波による海岸浸食が拡大している。大竹海岸では護岸ブロックが破損して深い穴が開いたり、基礎の一部が砂浜へ流されたりして、市は今夏の鉾田海水浴場開設を見送った。同海岸は鹿島灘の他地域に比べ浸食が少なかったが、市は県に対応を求めたい考えだ。

同海岸の海水浴場は、鹿島灘のほぼ中間にあり、南北約1キロにわたって設置されていた。2023年夏は、開設された県内14の公設海水浴場のうち5番目に多い約2万5千人が訪れた。

同海岸では今年春以降、浸食が拡大。護岸ブロックが割れたり、沈んだブロックの各所で深さ最大1メートルの穴が開いたりしているのが確認され、市は海水客の安全確保が難しいと判断、海水浴場の開設中止を決めた。同海水浴場は新型コロナウイルスの流行拡大で20、21年にも開設が見送られたが、海岸浸食による開設中止は初めて。

茨城大工学部の横木裕宗教授(海洋工学)によると、同海岸を含む鹿島灘では、利根川や那珂川から流入する土砂(漂砂)が波に乗って南北に広がり、砂浜が保たれてきた。しかし、海に流れる土砂の量が減少したことに加え、沿岸開発によって、漂砂が港の防波堤などにせき止められ、南北に広がりにくくなったことで、砂浜が狭まっているという。

ただ、漂砂は東西でも動きがあるため沖合の砂が沿岸に向かう可能性もあり、横木教授は、同海水浴場について「来年以降も開設できないとは限らない」と話した。

県河川課によると、鹿島灘の浸食は1970年代以降に深刻化。砂の流出を抑えるため、85年度からは浸食が著しい場所にヘッドランド(人工岬)を整備したほか、砂を補給する養浜などの対策を進めてきた。

同海水浴場周辺は当初、他地域と比較して浸食が緩やかだったとみられ、現在までにヘッドランドは整備されていない。同課は「今後の状況に応じてヘッドランド設置や養浜などの対策を検討したい」としている。

海水浴場の開設見送りを受け、岸田一夫市長は「市内に一つしかない海水浴場で貴重な観光資源。元に戻さなければならず、適した形での整備を県に求めていきたい」としている。



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