《ニュースを追って》アルファード 標的に 茨城県内盗難 今年10台超 中古市場で高値 解体後に輸出も
トヨタの高級ミニバン「アルファード」の盗難被害が全国で相次いでいる。警察庁のまとめでは、2023年の車種別盗難台数でワーストの700台だった。海外を含む中古市場で高値取引が続くことが背景にあるとみられ、茨城県内では8日に下妻市の公用車が盗まれ、今年すでに10台超が被害に遭っている。車両のコンピューターに不正アクセスしてドアロックを解除したり、レッカー車を使ったりして盗まれるケースが多いという。
警察庁のまとめによると、全国の23年の車種別盗難台数はアルファードが700台で、前年の330台から2倍以上増加した。このほか、トヨタ・ランドクルーザーが643台、トヨタ・プリウスが428台と続いた。損保会社が保険金を支払った盗難事件数を基にした日本損害保険協会の調査でも、兄弟車のヴェルファイアを含め被害が相次いでいる。
茨城県警によると、県内では昨年7月以降に盗難被害が増加。23年の1年間で十数台が盗まれ、今年1~6月の被害もすでに10台を超えた。捜査関係者は「アルファードは人気があり、中古市場でも高値で取引されている。多くの人が利用し、盗まれる台数も増える悪循環だ」と話した。
手口は針金や工具でドアロックを解除したり、レッカー車などでけん引したりするほか、車の制御システムに不正アクセスしてエンジン始動やドアロック解除を可能にする「CANインベーダー」が使われているとみられる。
下妻市では7日夜から8日朝にかけて、公用車のアルファードが盗まれた。市秘書課によると、施錠した車庫シャッターの鍵が壊されていた。他の公用車4台に被害がなかったため、最初からアルファードを狙ったとみられる。市は事件後、公用車にハンドルロックを導入。庁舎敷地内の防犯カメラ増設も検討しているという。
県警によると、高級車を狙った窃盗事件は専門の窃盗団や密輸ブローカーなどが関与している可能性が高い。盗んだ後にヤードと呼ばれる作業場で解体し、中古部品として輸出するほか、複数の車両部品を組み合わせて1台にする「ニコイチ」と呼ばれる手口で売られることもあるという。
県警は盗難防止対策として、確実な施錠に加え、ハンドル固定器具や警報装置、タイヤのホイールロック、GPS追跡装置などの盗難防止器具を複数組み合わせて被害を防ぐよう呼びかけている。