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《リポート2024》生ごみ再利用に力 茨城県土浦市、週2日分別収集

土浦市の生ごみの分別袋。右の女性が手にするのが新たに用意した特小サイズ=同市役所
土浦市の生ごみの分別袋。右の女性が手にするのが新たに用意した特小サイズ=同市役所


■堆肥やメタンガスに 転入者、外国人にも浸透へ
茨城県土浦市は生ごみのリサイクル事業に力を入れている。通常の自治体では可燃ごみ扱いだが、同市は全域週2日で分別収集し、堆肥やメタンガスにリサイクルする。一方、食品ロスへの関心が高まっている影響などもあり、収集量は年々減少傾向にある。市は高齢者や単身世帯用に「特小」の分別袋を用意し、外国人向けの多言語冊子を配布するなど、リサイクル率向上の取り組みを続ける。

▽茨城県内で唯一
市環境衛生課によると、市は2010年度に地球温暖化防止や循環型社会の構築を図ろうと「バイオマスタウン構想」を策定。可燃ごみの減量を目的に、12年に町内3地区で、15年から全域で生ごみの分別収集を開始した。

同課の担当者は「生ごみを定期的に分別収集してメタンガスにリサイクルしている自治体は県内で唯一」と話す。

分別収集には日立セメント(日立市)が運営する神立資源リサイクルセンター(土浦市東中貫町)が協力。搬入された生ごみを堆肥とメタンガスにしている。同社は堆肥で栽培したサツマイモから干し芋を製造して同市内の市内全16小学校・義務教育学校に寄贈。市は干し芋のリサイクルを学ぶ授業で配布し、子どもたちが資源の循環について学ぶ一助にしている。

▽搬入量は減少
一方で、同センターへの一般家庭生ごみ搬入量は減少傾向にある。同課によると、開始当初の15年度は約5400トンだったが、20年度には約4700トン、23年度には約4千トンに減少した。生ごみ搬入量の減少によって市全体のリサイクル率も減少傾向にあり、20年度21.4%から23年度には19.7%に減少している。

同課の担当者は、食品ロス削減に向けた意識の高まりや、家庭で生ごみを資源化できる機器の普及などを背景に挙げる。「個人個人で意識が高まっているのはとてもありがたい」としつつ、第3次土浦市ごみ処理基本計画(22年~31年)で目標に掲げる26年のリサイクル率26.5%達成に向けて取り組みを続ける考えだ。

▽働きかけ
リサイクル率向上に向け、市は単身の転入者や外国人居住者など向けに、分別浸透の働きかけを進める。 生ごみ分別袋を大(15リットル)、小(7リットル)に加え、21年には特小(5リットル)を用意した。同課の担当者は「高齢者や単身者が生ごみが少なくても小まめに出せるように工夫した」と製作理由を述べる。特小の袋は1カ所での販売だったが、昨年度から販売エリアを市内全域に拡大し、普及を図っている。

また本年度からは、外国人向けに、中国語やポルトガル語、タイ語など6言語で、ごみの分別方法を説明した冊子を作り、市のホームページなどで公開している。

同課の担当者は「多くの自治体では生ごみは可燃ごみ。転入してきたばかりの人や外国人居住者は、分別が分からない人も多い」と指摘。その上で「分別の浸透に向けて働きかけたい」と話した。



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