次の記事:10代女性をわいせつ目的誘拐、容疑で男逮捕 茨城県警神栖署 

銅線ケーブル盗難防げ 茨城県内太陽光発電施設 センサー駆使、アルミ交換

防犯対策の強化を伝える看板を設置した太陽光発電施設=つくば市内
防犯対策の強化を伝える看板を設置した太陽光発電施設=つくば市内


茨城県内で太陽光発電施設の銅線ケーブルが盗まれる被害が相次ぐ中、発電事業者が防犯対策の強化に乗り出している。同県つくば市内ではセンサーや防犯カメラを駆使した警備で容疑者逮捕につながったケースもあった。価格が高騰する銅を避け、ケーブルをアルミに代える動きもあり、被害抑止に懸命だ。

■侵入直後に通報

同市郊外の太陽光発電施設で3月上旬の夜間、施設内に張り巡らされた動体検知システムが作動した。中にいたのはタイ国籍の男。事業者からの通報で駆け付けた県警捜査員に取り押さえられ、銅線ケーブルを盗もうとしたとして窃盗未遂容疑などで逮捕された。

盗難被害を防いだ事業者は「ノーバル・ホールディングス」(同市島名)。約3万3000平方メートルの敷地に自社開発の同システムや防犯カメラなどを設置し、24時間監視する。侵入者を検知すると同社と警備会社へ連絡され、わずか数分で県警へ通報される仕組みだ。

同社は約10年前の開設時から銅線ケーブルの盗難被害に悩まされてきたという。社長の平文俊全(しゅんぜん)さん(38)は、一度被害に遭えば被害箇所の確認や復旧作業などに手間を要し、「損害が億単位に上ることもある」として防犯対策を重視。同社施設では昨年も別の男が侵入したが、素早い対応で逮捕につながった。平文さんは「警察に容疑者確保までしてもらうことが大事」と強調する。

■全国最多の被害

県内では2023年、銅線などを狙った金属盗の認知件数が前年比77%増となる2889件で全国ワーストだった。被害の約6割は太陽光発電施設。今年1~5月は、前年同期比の約3倍に当たる1041件の被害が確認された。

被害が相次ぐ背景の一つは施設の多さ。県警や「太陽光発電協会」(東京)などによると、1000キロワット以上の大規模発電施設は698カ所と全国最多。10キロワット以上の小規模施設も全国2位の約3万9000カ所ある。

山間部や警備の手薄な施設は狙われやすくなり、休眠状態の施設は発覚まで時間もかかる。捜査関係者は「(窃盗犯にとって)地面にお金が落ちているようなもの」と話す。市街地の小規模施設で昼間に盗まれる事案も増えてきたという。

■価格は高止まり

狙われる銅の価格は高値が続く。JX金属が公表する国内銅建値によると、24年4~6月平均は1トン当たり157万円。14年同期の74万円余りに比べ2倍以上に高騰した。こうした状況を反映し、古物についても高値の買い取りが続いているとみられる。

このため、太陽光発電事業者の間には、高価な銅線ケーブルから、より単価の安いアルミケーブルに交換する動きも。電気通信工事のつくば電気通信(同県土浦市)では、ここ数年は事業者からの交換依頼が数倍に増加。同社担当者は「窃盗犯が途中でアルミだと気付き、盗まれなかった事例もある」と話した。

県警も買い取り業者への取り締まりを強化。6月には盗まれた銅線などを買い取ったとして、盗品等有償譲り受け容疑で、栃木県の中国籍の30代男を摘発した。

県警は「月単位の被害件数はピーク時より減ってきた。今後も民間や関係部署と連携して取り締まりを継続する」としている。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース