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大般若経の断片公開 文殊院で発見 20日から特別展 茨城・常陸太田 高橋茨城大教授が報告会

常陸太田市の文殊院で見つかった「智感版・大般若経」についての報告会=同市天神林町
常陸太田市の文殊院で見つかった「智感版・大般若経」についての報告会=同市天神林町


茨城県常陸太田市天神林町の文殊院で見つかった、室町時代に刷られた経典「智感版(ちかんばん)・大般若経(だいはんにゃきょう)」の断片が20日から、市郷土資料館(同市西二町)の特別展「経典が語る常陸奥郡の中世」で一般公開される。全国的にも希少で、同県内で確認されたのは初めて。公開を前に、調査を担当した茨城大の高橋修教授が同市天神林町の集落センターで、同資料発見の経緯などを説明した。

高橋教授は、室町時代に鎌倉公方の鎌倉府で管理されていたとみられる経典である点に触れ、「(佐竹氏の有力家臣の)小野崎氏という武家領主の手を経て、寺社に届けられた一連の経緯が具体的に判明するのは唯一の事例だ」とし、発見の意義を強調した。

経典類は地元の天神林町会が2019年11月に同寺で発見し、茨城史料ネット(代表・高橋修教授)に解読整理を依頼。調べた経典類の中に今回の断片が含まれていた。

智感版は室町幕府将軍家の足利氏が僧、智感に彫らせた木版から刷られた大般若経。足利将軍家から鎌倉公方に受け継がれたとみられる。今回は全600巻のうち第291巻の巻末の1紙が見つかった。その1枚に巻数や木版を作った人の名前、寄進した人の銘文が残っていた。

13日に開かれた報告会には、地域の寺社や公民館の関係者ら約40人が出席。高橋教授が今回の発見につながる江戸時代の国学者、色川三中(みなか)の記録や、小野崎氏の政治的立場などについて解説した。報告会を主催した同町会の日座正則(ひざまさのり)会長は「これからの伝承の難しさを感じるし、今後の調査にも期待している」と話した。

同資料館での一般公開は8月18日まで。10月8日からは、千葉県佐倉市の国立歴史民族博物館で、近年発見の新資料として紹介される。



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