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コメ取引価格3割高 23年茨城県産 猛暑で生産量減、インバウンド需要増

低温倉庫に積まれる玄米=茨城町鳥羽田の石崎商店
低温倉庫に積まれる玄米=茨城町鳥羽田の石崎商店


物価上昇でさまざまな食品の値上げが続く中、2023年産のコメの取引価格が上がっている。茨城県内では6月、JAなど出荷団体と卸売業者との契約価格が22年同期比で約30%割高となる1万8千円台で推移。生産量の減少やインバウンド(訪日客)増加に伴う需要増などが背景にあるとみられる。

農林水産省がコメ価格の代表的な指標として公表している「相対取引価格・数量」は今年4月以降、22年産を大幅に上回る高値で推移。6月の23年産コシヒカリの相対取引価格は玄米60キロ当たり1万8680円となり、同年産平均を約23%上回った。また、単発での取引(スポット価格)も高止まりが続き、同月下旬からは2万6千円台で推移しているという。

高値の背景の一つは昨年の猛暑。全国各地でコメの減収が相次ぎ、JA全農いばらき(同県茨城町)によると、23年産米の集荷量は22年産に比べ1割以上減少した。

コメ価格の高騰について、米穀卸の石崎商店(同)の石崎稔代表は「記録的な高値」と指摘。一方、販売量は前年度比2割増と好調で、JA全農いばらきの担当者は「業務用米の需要が増えた」と話した。販売先は首都圏が中心という。

加えて、インバウンド回復もコメ需要を押し上げているとみられる。政府観光局の推計によると、今年5月の訪日客数は300万人を超え、コロナ禍前の19年5月比で約10%増。このほか、猛暑による品質低下や物価高など「複合的な要因が重なった」(石崎代表)とみられる。

寿司屋や定食屋などを手がける「飛勘水産」(同県日立市)は、コメの仕入れ値が上がっているとしながらも「顧客に来てもらいたいので、できるだけ値上げせずに踏ん張りたい」としている。

JA全農いばらきは現在、在庫も交えながら出荷するが、新米シーズンまで出荷量を確保できるかは不透明な状況。米穀販売を担当するパールライス課は「希望全てに応えられないかもしれない」としている。



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