定置性漁法に奨励金 霞ケ浦・北浦 茨城県、漁具補助も 8月上旬にも開始

霞ケ浦・北浦でトロール漁を行う漁業者に対し、茨城県は特定の場所に網を設置して魚を獲る「定置性漁法」の漁具の購入費を補助し、奨励金を支給して技術習得を支援する。漁船を使った底引き網で取るワカサギやシラウオが減少する中、経営の多角化を促すことで漁業者の新たな収入源につなげたい考え。早ければ、8月上旬から開始する。
定置性漁法を始めるために必要な「張網」や「刺網」の漁網や重りなどの道具一式の購入や、補修費用にかかった費用の3分の2を県が補助する。また、定置性漁法の技術を習得するためにトロール漁に出ない期間の損失を補う奨励金として、10日分を上限とし、一日当たり2万5千円を支給する。
ワカサギ、シラウオの漁獲量はいずれも減少している。県によると、ワカサギは2020年は73トン、21年は34トン、22年は16トンと激減。シラウオも20年は188トン、21年は152トン、22年は150トンと減少傾向にある。
7月上旬、霞ケ浦漁業協同組合は21日のワカサギ漁解禁に向けて試験操業を行った。「特にワカサギは昨年よりひどい状況。主力の魚種だけでは(経営が)成り立たず、後継者が育たない」と鈴木幸雄同組合長(71)は話す。
県が漁業者への支援策を打ち出した背景には、資源の減少に加え、漁船を動かす燃料費の高騰がある。「定置性漁法は一定場所に網を設置するため、漁船の燃料代はかからず経費が少なくて済む」(県漁政課)という。
定置性漁法では、ハクレンやアメリカナマズ、スズキが獲れる。県はこれまで、霞ケ浦・北浦のハクレンなどの未利用魚を有効活用する事業を展開。千葉県の製造業者の協力で、魚粉を試作してきた。
本年度は、漁業者への支援と同時にハクレンなど未利用魚を使った加工品の開発を始める。11月頃に試食品を販売する予定で、将来的に漁業者の収入増加の一つにつなげたい方針。
県は26日まで、補助を希望する漁業者を受け付ける。申請を受け県が審査し、補助金の交付決定を経て来月上旬から支援を始める。県漁政課の担当者は「漁業者の選択肢を増やしていきたい」としている。