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メロン4品種を開発 農研機構と奈良の研究所 退緑黄化病に抵抗性 茨城

新品種「アールスアポロン」の果実(農研機構提供)
新品種「アールスアポロン」の果実(農研機構提供)
葉の黄化が少ない新品種「アールスアポロン」(左)と黄化が激しい品種(右)の試作状況(農研機構提供)
葉の黄化が少ない新品種「アールスアポロン」(左)と黄化が激しい品種(右)の試作状況(農研機構提供)


農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市、農研機構)は、スイカやメロンの育種などを行う民間研究所と共同で、葉が枯れて糖度が下がる「退緑黄化病」の抵抗性を持つ新品種メロン4品種を開発した。農研機構によると、世界で初めてという。種子は退緑黄化病の被害が大きい九州地方限定で7月に販売開始し、来年には全国に供給する予定。

農研機構が萩原農場生産研究所(奈良県)と共同開発したのはメロンの「アールスアポロン」シリーズ。

退緑黄化病は体長約0.7ミリの害虫「タバココナジラミ」が媒介する。感染した場合、葉全体が黄色くなり、糖度が低下するなど商品価値が著しく下がる。同研究所によると、近年、関東から西の地域で増え、大きな問題となっている。

農研機構は約15年前から、退緑黄化病に抵抗性を持つ品種の研究を進めていた。2018年に同研究所から話を受け、共同で開発に乗り出した。実用的な品種となるように何度も改良を重ねた。昨年、九州地域で試作し、退緑黄化病の発生が少ないことが確認された。

共同開発したアールス系メロン「アールスアポロン」は果肉が緑色で、夏系、春秋系、早春晩秋系、秋冬系の4品種ある。いずれも退緑黄化病の抵抗性を持つ。農研機構野菜花き品種育成研究領域の川頭洋一グループ長は「寒さなど、それぞれの季節に対応できる品種」と説明する。

品種名の「アポロン」はギリシャ神話に登場し、病を払う治療神として知られることから名付けたという。

深刻な影響を受ける九州地方で、7月に新品種の種子の販売を開始したところ、すでにほぼ完売した。同研究所は「他産地からも問い合わせが入っている」としており、「来年には全国に供給を開始する」と拡大を見込む。

川頭グループ長は「被害を受けてメロンの栽培をやめるケースもあると聞く。普及してほしい」と話した。



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