「物申す外交を」 前駐豪大使 山上氏、最前線語る 水戸で茨城新聞合同政懇

茨城新聞社主催の合同政経懇話会が23日、茨城県水戸市千波町の水戸プラザホテルで開かれた。前駐豪大使で笹川平和財団上席フェローの山上信吾氏が「外交最前線の現状と日本外交の課題」をテーマに講演し、対米関係について「『物申す日本』でなければいけない。米国を動かして、使っていく発想が大事だ」と述べた。
11月の米大統領選で再選を目指した民主党のバイデン大統領が撤退を表明したことに触れ、「大統領選までまだ3カ月以上あるが、このままいけばトランプ氏が大統領に復活してくる。だとすれば、日本はトランプ氏への対策をしっかりやっていくことが課題」と話した。
「弱腰」とされる日本の外交については、その要素の一つに「日本人の性格」を挙げた。「日本人の弱さを虚心坦懐(たんかい)で見つめ直さないと、日本外交は強くならない」とし、「『和をもって尊しとなす』という伝統にあるように、友好にやりたいという気持ちが強すぎるが故に、外交になると足元を見られマイナスになる」と指摘した。
対中関係については「日本は適切な距離を取らなければいけない。近づき過ぎても遠過ぎてもいけない」と主張。中国の持つ能力を活用しつつ、「等身大の中国をしっかり見極めないといけない。学ぶ点は学ぶが、機会があれば日本の組織力を見せつけ、侮らせないことが大事」とした。
最後に、日本人が持つ資質に触れ「経済力や技術力があり、きめ細かさ、サービス、人の良さ、全てが相対となって国力をつくっている。最後は日本人の民度の高さ。力を合わせれば、いろんなことができる。日本を変えていけるし、もっと毅然(きぜん)とした外交をすることもできる」と強調した。