洋品店シャッターに地元の特徴描く まちの玄関口に彩り 茨城・日立北高
茨城県日立市川尻町の県立日立北高(清水秀一校長)美術部員たちが、JR十王駅前にある洋品店のシャッターに「シャッターアート」を完成させた。同市十王町の特徴を詰め込み、同市への誘致を目指すパンダや制服姿のキャラクターなどを一緒に描いた、にぎやかな作品。まちの玄関口を彩り、部員らは「絵を見て明るい気持ちになってほしい」としている。
絵が描かれたのは、同市十王町友部東の洋品店「山貴」。店舗外壁を塗装し直したことを機に、店主の妻、小野江華さん(70)が6月中旬ごろ同部に制作を依頼した。同駅は同高生徒を含む通勤通学の利用が多く、国民宿舎「鵜の岬」(同町)に来る全国からの宿泊者にも使われる。同店は駅を訪れる人の目に留まる場所で、シャッターアートで「活気あふれる雰囲気になれば」(小野さん)との思いがあった。同部員からも「やりたい」と声が上がり、地域貢献しようと同高で快諾した。
シャッターの大きさは横約12.1メートル、縦約2.5メートル。同部員の1、2年生と引退した3年生も加わり計30人で制作した。同店と2回の絵の打ち合わせを経て、今月16日からシャッターに描き始め、完成まで計4日間作業を行った。下書きをして、水性ペンキを使って絵を描いてきた。
デザインは同店からの要望を受け、十王ダムから鵜の岬までを十王川の流れに沿って表現。同駅や同店も描き込んだ。市かみね動物園へのジャイアントパンダ誘致に合わせパンダを入れた。同店が同高の制服を取り扱っていることにちなみ制服姿のキャラクターや、動物などを個性的に描いた。
21日は午前9時から同部員ら15人で仕上げ作業に当たった。暑さの中でも真剣に筆を動かし、正午ごろに完成。地域住民らも足を止めて作品を見ていた。部長の2年、土井優麻さん(16)は「普段は一人一人で制作することが多いので、部員全体で描けて楽しかった」と振り返る。絵を通じて「十王町らしさを感じてほしい。道行く人たちに見てもらいたい」と笑顔で話した。
小野さんは「絵の中に青春がぎゅっと詰まった感じがする。10年、15年後にも、生徒たちが家族を連れて絵を見に来てくれたらうれしい」と話した。