難聴の境橋さん インターハイへ 水戸聾学校から初 29日、女子砲丸投げ出場 「勇気づけたい」
県立水戸聾(ろう)学校高等部3年の境橋真優(まひろ)さん(18)=茨城県行方市=が29日、九州北部で開かれている全国高校総体(インターハイ)の陸上女子砲丸投げに出場する。難聴を患いながらも競技に打ち込み、同校初のインターハイ選手となった。同じ境遇の人々を「少しでも勇気づけたい」と意気込む。
境橋さんは、生まれつき耳が不自由な先天性感音難聴。生活には人工内耳や補聴器が欠かせない。
砲丸投げを始めたのは高等部1年の頃。陸上部顧問の西島経仁教諭(31)から誘われたのがきっかけで、「練習した分だけ飛距離が伸びていくのが楽しい」と競技にのめり込んでいった。練習では手話や身ぶり手ぶりも交えながら指導を受ける。
6月の北関東地区予選では11メートル97センチを記録して4位に食い込み、「競技を始めてからずっと目標にしてきた」というインターハイへの切符を獲得した。
もともと大のスポーツ好きで、バレーボール部ではレギュラー選手として活躍する。「二刀流」で忙しい日々を送る中、投てき距離を伸ばすために自身に足りない部分の分析を重ね、効率的な練習を心がけてきたという。
「みんなの応援があったおかげで続けられている」と境橋さん。来年11月に日本で初めて開催される聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」の出場も視野に入れており、西島教諭は「恵まれた体格に加え、全身の使い方がとてもうまく才能がある。潜在能力もあり、まだまだ伸びるはず」と教え子の成長に期待を寄せる。
インターハイでは、自身が活躍する姿を同じ境遇の人に知ってもらい、「耳が聞こえないことや置かれた環境、設備を理由にせず、いろいろなことに挑戦してほしい」とエールを送りたい考えだ。
女子砲丸投げの予選通過ラインは、自己ベスト(12メートル05センチ)を上回る12メートル35センチ。29日の本番では自己ベストを30センチ以上更新するのが目標で「何とか決勝まで行きたい。全力で頑張る」と活躍を誓った。