海と森 つながり学ぶ 茨城・鹿嶋市体験ツアー 児童ら漁見学や稚魚放流
子どもたちに身近な海の魅力や、海に栄養をもたらす森林の大切さを体験してもらおうと「海と森の体験ツアー」が26、27の両日開かれた。1日目は、水産資源豊かな茨城県鹿嶋市で行われ、魚へ餌をやったり船上から漁を見学したりした。同市内の小学4~6年生20人と高校生ボランティア3人が参加し、漁業の専門家の下で海に親しんだ。
ツアーは初めて開催。森林環境税を活用し市が主催、FMかしまに委託した。県や県森林・林業協会、県栽培漁業協会、鹿島灘漁業協同組合が協力した。
最初に訪れた県栽培漁業センターでは、県栽培漁業協会の専務理事、中村丈夫さんが「海・川・森はひとつ」と題して講義。茨城県の漁獲量が全国2位(2021年)であることや、茨城県沖は黒潮と親潮が混ざるため、栄養が豊かな海だと説明。さらに、森の腐葉土に蓄えられた栄養が海に運ばれ海の幸となる「海と森のつながり」を説明した。
種苗生産施設では、アワビ、ウニ、ハマグリを観察。特別設置の水槽でヒラメ、ナマコなどを手でつかみ「ざらざらしてる」「かわいい」などと感想を漏らしていた。ヒラメやマダイ、イシダイなどがいる展示池では餌をやり、跳びはねるヒラメに興味津々だった。
次に、鹿島灘漁業組合魚市場に移動。同日水揚げされたシラス、タイが競りにかけられる様子を見学した。続いて、スライドで茨城のしらす船曳(ふなびき)網漁業の仕組みや、シラスが加工されるまでの流れを学んだ。お昼は、釜揚げ・ちりめんのシラスとハマグリの酒蒸し、お吸い物などを味わった。
午後は、岸壁からヒラメの稚魚300匹を放流。最後に、船に乗って海上でシラス漁とハマグリ漁の操業を見学。シラス漁の船が約200メートルある網を張ったり、約900キロのハマグリが取れたりすると歓声が上がった。
参加した市立高松小4年の小野寛奈さん(10)は「初めてナマコに触った。船はちょっと怖かったけど楽しかった」と振り返った。豊郷小4年の吉田悠真さん(9)は「生き物が好きで参加した。餌やりの時、ヒラメがジャンプしたのを初めて見て驚いた」と話した。
2日目の27日は、森林豊かな同県大子町で、町立生瀬小の児童も交え、間伐やまき割り体験などを行った。