次の記事:中村衆院議員、不出馬 茨城7区 元建設相、当選15回 

茨城県日立市、止水壁や堤防新設 庁舎浸水対策案 電源は地下のまま

日立市役所=同市助川町1丁目
日立市役所=同市助川町1丁目


昨秋の台風13号に伴う大雨で庁舎が浸水、停電した茨城県日立市は30日、水害に備えた安全対策計画の素案を明らかにした。氾濫した庁舎脇の河川に堤防を整備し、庁舎の外周に止水壁を設置。地下階で水に漬かった電源設備は現在地のまま復旧する。総事業費は概算で31億円に上る。

同市は昨年9月8日の大雨で、庁舎脇の数沢川と平沢川の合流部が氾濫。地下の電源設備が水に漬かって機能不全となり、対策本部を近くの消防本部に一時移転した。

計画案によると、庁舎に水が入り込まないよう、建物の東側を除く三面に止水壁や止水板を整備する。壁の高さは80~110センチで長さは200メートル。昨秋の被害で主な浸水経路となった地下進入路の出入り口は、浮力式と手動の止水壁で二重対策を講じる。

電源設備については屋上と地上への移設も検討したが、建物の補強工事が必要で工事費も膨らむことから、浸水対策を強化した上で現状の地下階で復旧する。免震構造の長所を残す狙いもあるという。

電源設備がある地下の機械室では、免震層からの逆流を招く原因になった配線や点検口、扉の隙間を埋める対策を行う。浸水状況を把握するため監視カメラを設置し、排水ポンプの制御盤は高所に移す。

氾濫した河川の溢水(いっすい)対策では、護岸沿いに最大高さ1.5メートルの堤防を約90メートルにわたって整備する。河川の合流部の形状は、T字形からY字形に角度を緩和させ、周辺の河床を掘り下げることで水があふれにくいようにする。

計画案は有識者を交えた検討会で議論し、想定される最大規模より1割多い降雨量を前提にした。対策工事は2026年度末完了予定。二つの河川の上流域に調整池を整備することも検討する。計画案に関し市は8月5~15日にパブリックコメントを実施する。

小川春樹市長は「対策の実施により、浸水と地震リスクの両方に対応した災害に強い庁舎にできる」とのコメントを出した。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース