《解説》茨城・八千代町長に野村氏再選 農業振興、多文化共生が鍵
茨城県八千代町長選で無投票再選された野村勇氏は、豊富な行政経験で1期目を乗り切った。その実績で信任を得た形だ。
同町は農産物の産出額が年間250億円に上り、ハクサイの生産量は日本一を誇る。メロンは県内2位、ナシは同じく6位と県内有数の農業の町だ。
一方で、鉄道の駅や高速道路のインターチェンジがないなどのハンディを抱える。
町はふるさと納税に力を入れ、2023年度の寄付額は県内3位の22億8千万円に達した。今後はコメ農家との連携を強化し、農業振興を図る方針で、移住定住策も同時に促進させたい考えだ。近年はキムチ生産工場、自動車関連工場、食品工場などの企業誘致を進めている。税収確保に向け、さらなる誘致が必要となりそうだ。
現在の町人口は2万1000人。今年4月に消滅可能性都市と指摘され、30年後は1万4千人と推定されている。
町は「小さくてもキラリと光るまちづくり」を目標に掲げ、小規模自治体として生き残りを懸ける。野村氏は「活力ある年齢層がたくさん残る人口構造にしたい」との方針を示す。
町人口の8%程度が外国人で、ベトナム人、中国人、インドネシア人などが農業や工業の現場で働いている。近く10%まで到達するとみられ、多文化共生社会の実現も課題となろう。











