《パリ五輪》「秋彩ちゃん すごい」 森選手、Sクライミング複合決勝へ 茨城・阿見のジム、ファン歓喜
8日行われたパリ五輪スポーツクライミング女子複合予選リードで、茨城県つくば市出身の森秋彩(あい)(20)=筑波大3年、県山岳連盟=が4位となり、10日の決勝に駒を進めた。得意のリード競技は完登まであと一歩。同県阿見町のボルダリングジムでは、次々と難所を攻略する圧巻のパフォーマンスに地元ファンから歓喜の声が上がった。
森の練習拠点の一つ「ロッキーつくば阿見店」(同町本郷)ではこの日、仕事帰りにボルダリングを楽しむ利用者や大人や子どもらファン約20人がモニター前に集まった。
森は予選のボルダーで11位と出遅れたが、この日はW杯で優勝した経験もある得意のリード。利用者らは、逆転での決勝進出を願い「秋彩ちゃん、頑張れ!」「完登だよ」と声援を送った。
多くの選手が落下した中盤の難所に差しかかると「手を伸ばせ!」「いけ、いけ」と声が上がり、ジムに集まった全員がモニター画面を食い入るように見つめ、クリアした瞬間には大きな拍手が湧き起こった。
難所を突破した森はホールド(突起)一つ一つを着実に握り、トップホールドへ。利用者らは手に汗握りながら「いいよ、いいよ!」と身を乗り出して応援を続けた。
最後のホールドをつかみ損ねて完登こそ逃したが、リード競技では貫禄の1位に。終了後は「すごい、すごい」と森の決勝進出を喜び合う利用者の姿が見られた。
観戦した北川瑚桜(こお)さん(13)は「緊張しているはずなのに、たくさん手を伸ばしていて、とてもかっこよかった」とたたえた。
森の決勝進出に、店長の五島雄さん(37)は「しっかり結果を残してくれてひと安心。練習に訪れるような身近な人が五輪の大舞台で活躍している様子を、子どもたちも目に焼き付けてほしい」と笑顔。10日の決勝に向けては「ボルダー競技で上位選手にどれだけ食いつけるかが鍵になるのでは。あまり緊張せず、伸び伸び楽しんでほしい」と話した。