《戦後79年》精緻で迫力の艦船鉛筆画 「乗組員の歴史感じて」 茨城・笠間で作品展
鉛筆を用いて艦船や航空機を描く大阪府大阪市在住の鉛筆艦船画家、菅野泰紀さん(41)の作品展「マドロスたちの航跡」が茨城県笠間市旭町の筑波海軍航空隊記念館で開かれている。艦船の細部や乗組員の姿が精緻に描かれた作品46点のほか、船内で発行された「艦内新聞」を展示している。菅野さんは「戦史からは分からない乗組員の歴史を感じてほしい」と話している。同展は11月24日まで。
展示作品は、太平洋戦争時に出撃した旧日本海軍の艦船や航空機を描いたもので、鉛筆の濃淡や光沢感を生かし、繊細ながらも迫力を伝える。同新聞は、乗組員が甲板で見た映画の感想や売店の売り切れ情報など、リアルな生活の様子が記されている。
作品と同新聞を合わせた展示は今回が初めて。艦船を描く際、最も大切にするのは乗組員の姿という菅野さんは「船は人なしでは動かない。小さく描かれた船乗りたちを見て、先人たちの当時の思いを感じ取ってほしい」と訴えた。
菅野さんは戦没者の慰霊顕彰として、海上交通の安全を祈願する艦船神社に多くの作品を奉納している。「神社の存在も知ってもらい、船乗りの伝統を後世に伝えたい」と語った。
時間は午前9時から午後5時。火曜休館。