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第106回全国高校野球選手権大会 茨城県代表・霞ケ浦、歓喜の校歌 甲子園、春夏4度目で

甲子園での初勝利に、喜びを爆発させる霞ケ浦高の関係者ら=甲子園球場
甲子園での初勝利に、喜びを爆発させる霞ケ浦高の関係者ら=甲子園球場
智弁和歌山高に勝利し、試合後、ベンチ前に整列する霞ケ浦高・高橋祐二監督=甲子園
智弁和歌山高に勝利し、試合後、ベンチ前に整列する霞ケ浦高・高橋祐二監督=甲子園


第106回全国高校野球選手権大会で茨城県代表の霞ケ浦高は13日、智弁和歌山高との激戦を制し、甲子園で初の勝利をもぎとった。夢の舞台で校歌を-。長年の目標へ向け一塁側アルプススタンドでは応援団が力の限り声援を送り、選手を鼓舞。かつて選手らと同じ思いで目標に挑んだ野球部OBらも駆け付け、悲願成就を後押しした。

霞ケ浦高は春も含め、これまで3度甲子園の土を踏んだものの、いずれも初戦で敗退。選手らは初の1勝を目指し、厳しい練習に励んできた。

1塁側アルプススタンドでは、同校の吹奏楽部やチアダンス部の部員らが熱のこもった応援を繰り広げた。チアダンス部部長の飯田琶雅さん(18)は「甲子園で校歌を歌いたいとの思いは一緒。これまで共に戦ってきた仲間を全力でサポートしたい」と話し、声を張り上げた。

野球部OBたちも応援に駆け付けた。2022年度に卒業した大貫郁弥さん(19)は、現在の3年生が入学した当時、最上級生として共に練習に励んだ。夢の舞台で活躍する後輩たちの姿に「1年の頃から知る子たちが甲子園まで勝ち上がり、感極まる思い」と語った。

特に、初戦突破への願いは選手らと同じ思いだ。「甲子園で勝って校歌を歌うことは代々の目標」。自然と応援にも力が入る。八回に同点へ追い付かれた場面でも、「必ず勝ち越せる。しっかり声を出そう」と、諦めずエールを送った。

延長十一回。甲子園初勝利の瞬間に立ち会うと、「最高」と喜びを爆発させ、悲願をかなえた後輩たちに「ありがとう」と感謝の思いを語った。

■高橋監督「恩返しできた」
悲願の甲子園初勝利を遂げた霞ケ浦高。監督就任24年目で勝利へと導いた高橋祐二監督(65)は「今までの先輩やいろいろな方々が悔しい思いをしてきたものを、全てきょうの勝利で恩返しできた」と感慨深げに語った。

2015年に夏の甲子園初出場を果たし、19年に2度目の出場へと導いた。「人間的成長なくして技術の成長なし」を信条に、23年度卒業の木村優人(ロッテ)らプロ野球選手を輩出してきた。そんな高橋監督が心から願ってきたのが「甲子園で勝って校歌を歌うこと」だった。

夏は15年の初出場まで5度、茨城大会の決勝に進みながら「聖地」を逃した。その後、2度手にした夏の甲子園出場で白星を挙げられなかった。そして迎えた「三度目の正直」だった。初戦の相手が決まり、高橋監督は「(茨城が)常総学院以外なかなか勝てないといわれてきた中で、昨年土浦日大が(4強まで)勝ち上がった。本校はまだ1勝も挙げられていない。なんとか1勝を挙げられるように、県の代表として精いっぱい戦いたい」と淡々と話し、目を見開いた。静かな闘志を感じさせた。

チームは「人間力野球」をスローガンに掲げている。ずば抜けた選手こそいないが、教え子たちは全員で力を合わせて勝つ野球で躍動した。

指導では「教えることは学ぶこと」を心がける。今回の甲子園出場についても「子どもたちに教えられた県大会だった」と振り返る。教員生活の最初の19年で、当初は競技未経験だったバレーボール部の監督を務め、全国大会出場へと導いた。硬式野球部でも「自分がいかに教えることを勉強できるかどうかが指導者の全て」と確信する。

試合を終えた監督の表情は充実感に満ちていた。



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