《第106回全国高校野球選手権》第7日 霞ケ浦(茨城)競り勝つ 智弁和歌山に5-4



全国高校野球選手権大会第7日は13日、甲子園球場で2回戦4試合が行われた。茨城県代表の霞ケ浦は智弁和歌山に延長十一回タイブレークの末、5-4で競り勝ち、3回戦進出を決めた。甲子園初勝利。
公立校で夏初出場の石橋(栃木)は、春夏通じて初出場の聖和学園(宮城)を5-0で下して、甲子園大会初勝利を挙げた。入江が11三振を奪い、4安打完封。
滋賀学園は花巻東(岩手)に5-0で勝利。脇本が6安打完封した。
青森山田は長野日大に9-1で快勝した。
《第106回全国高校野球選手権》第7日 霞ケ浦 5-4 智弁和歌山
■霞ケ浦競り勝つ
【評】霞ケ浦が延長十一回タイブレークを制し、甲子園初勝利を挙げた。延長十一回2死二、三塁、片見、真仲の連打で2点を挙げ勝ち切った。先発市村は緩急をつけた投球で七回まで散発3安打無失点と試合をつくり、八回に同点とされてから登板した救援の真仲が3回1/3を1失点で要所を締めた。
智弁和歌山は八回、高桑の2ラン、花田のソロで同点に追い付き、延長十一回に1点を返したが最後は力尽きた。
《ハイライト》霞ケ浦 総力結集 強心臓 真仲、ピンチしのぐ
霞ケ浦が甲子園で初めて校歌を響かせた。夏を3度制した難敵・智弁和歌山との延長十一回タイブレークの激戦を総力戦で制すと、霞ケ浦ナインの笑顔がはじけた。
八回2死。ここまで緩急を生かした投球で試合をつくってきた先発の市村才樹(2年)が、相手中軸に2者連続でスタンドに運ばれ同点とされた場面。2番手として真仲唯歩(3年)がマウンドに立った。先頭に二塁打を許すも後続をきっちり打ち取り、「気持ちで投げて抑えることができた」。延長十回も中軸を自慢のスライダーや速球を駆使して仕留めた。
守備で流れをつくると、延長十一回2死二、三塁、真仲の女房役の片見優太朗(2年)が「絶対後ろ(真仲)につなげるんだ」と意地の内野適時打。真仲も自らを援護する適時打を放ち、2点を勝ち越した。その裏、「アウトコースに投げ込めれば打たれないと思った」と真仲は、事前に映像を観て分析した成果を発揮。野手陣も真仲の好投に引っ張られるように堅守を見せ、相手の反撃を1点に抑えて終止符を打った。
試合後、「ピンチで抑えた時が一番楽しい」と強心臓ぶりを見せた真仲。甲子園で仲間たちとともにつかんだ大きな1勝について、「一人一人が頑張っているチーム。みんなの力で勝てた」と誇らしげに語った。
■森田躍動 4打数3安打
○…霞ケ浦の上位打線に名を連ねた森田瑞貴(3年)が4打数3安打で打線を盛り立てた。
高橋祐二監督(65)は初戦に向け「左打者が鍵になる」と話していた。この日は1番打者から森田を含め3人の左打者を上位に置く布陣で、見事に起用に応えた。
「迷いのないスイングがヒットにつながった」と森田。初回から安打を放ち出塁すると、三回にも変化球を中前へ運んだ。2点を挙げた五回には2死から139キロの速球をはじき返し、後続の羽成朔太郎(同)の適時三塁打、大石健斗(2年)の適時打を呼び込んだ。
茨城大会から打撃が好調で、聖地でも役割を果たした森田。甲子園初勝利を挙げ「今までの先輩たちでも成し得なかったことを自分たちの代で達成でき、ほっとしているしうれしい」と笑みをこぼした。
■延長11回 激闘制す エース市村、緩急自在
○…先発したエース市村才樹(2年)が夏の聖地で躍動した。八回途中に3失点して降板したが、緩急をつけた投球で、夏を3度制した強豪・智弁和歌山打線を七回まで散発3安打無失点に抑え試合をつくった。
「自分のピッチングを貫き、七回まで完璧な状態でできた」と話す左腕。試合前日は緊張した様子だったが、マウンドではみじんも感じさせなかった。189センチの長身から、この日は120キロ台の直球と80キロ台の変化球なども繰り出し、持ち前の制球力と緩急で相手打線を手玉に取った。八回2死から2ラン、ソロを浴び救援にマウンドを譲ったが、高橋祐二監督(65)は「150点の投球だった」とねぎらった。
この日の投球を「自信につながった」と話す2年生エース。次戦に向け「回が進むごとに集中力が切れてしまう部分があった」と課題を挙げ、「例え2死で走者がいなくても、気持ちを入れて打者一人一人に集中して向かっていく」と気合を入れた。
■すごくびっくり 霞ケ浦・高橋監督
「智弁和歌山相手にまさかこんな試合ができるとは思っていなかった。すごくびっくり」
■霞ケ浦・市川主将
「いつも通りの守備で守っていけば勝てると信じてできた。チーム全員が強気で向かっていけた」
■霞ケ浦・羽成一塁手(五回に適時三塁打)
「フルスイングで、思い切り打ったおかげで打球が飛んだ」
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