認知症 地域で見守る 〝カフェ〟開始 取手・双葉地区 水害きっかけ、孤立防ぐ 茨城
茨城県取手市双葉地区で認知症カフェ(オレンジカフェ)が8月、始まった。初回の9日は地区内の認定こども園で高齢者が園児との交流を楽しんだ。今後は同市双葉3丁目の「つなぐ・双葉地域交流センター」で2カ月に1回開き、専門職を交えて困りごとの相談を受けたり、認知症の知識を啓発したりしながら、誰もが気軽に立ち寄れる居場所を目指す。
同地区は昨年6月の豪雨で被災し、住宅が浸水したり、住民が逃げ遅れたりした。その際に課題として高齢化が浮き彫りになった。住民の半数近くが65歳以上の高齢者であり、1人暮らしで孤立する人も少なくない。
こうした現状を踏まえ、水害を機に住民有志が立ち上げたつなぐ・双葉地域交流センターと、「地域包括支援センター藤代なごみの郷」で認知症カフェ開設に向けた準備を進めてきた。
カフェは認知症患者や家族だけでなく、地域住民も気軽に立ち寄ることができ、同支援センターの専門職が困りごとの相談に乗ったり、認知症の啓発をしたりする。
初回となった9日は地区内の認定こども園「つつみ幼稚園」で、高齢者約30人が園児とけん玉遊びや輪投げなどで交流し、楽しいひとときを過ごした。宮本美子さん(77)は「園児の一生懸命な姿が良かった。これから自分に何かあった時が心配なので参加した」と話した。
カフェは今後、偶数月に1回開く予定だ。カフェの主催者となる藤代なごみの郷担当者は「地域に開かれた場所にし、同じ悩みや境遇の人が集まれて、お互いの癒やしの場所にし、孤立化を防ぎたい。認知症の正しい知識も普及させたい」と意欲的に話している。