「盆船流し」故人しのぶ 北茨城
新盆を迎えた家が故人の霊を船に乗せ海に送る「盆船流し」が16日早朝、茨城県北茨城市大津町の大津漁港で行われた。ササや花、ちょうちんなどで飾られた木製の盆船14隻が浮かべられ、親類らは船を見つめながら故人をしのんだ。
盆船流しは江戸時代から地元に伝わる伝統行事で県指定無形民俗文化財。午前6時から読経や伝統のじゃんがら念仏踊りで供養し、雲間から日の光が差す中、盆船を漁船でえい航した。従来は沖合まで行くが、台風7号の接近を受け港内を中心に周回する形にした。
夫を親類ら8人で送った福島県いわき市の小松アイ子さん(83)は「不器用だけれど楽しいことが好きな人だった。『ありがとう、お疲れさん』という気持ちで、じーんとした」と語った。大津町盆船流し保存会の村田洋文会長(69)は「天候が持ち、みんなの気持ちが通じたのかと思う。今後も行事を続けられれば」と話した。