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海外研修挑戦にCF支援 水戸の八木さん、10月渡米へ 「障害者の希望に」 茨城

ヘルパーの介助を受けて米国での研修に挑戦する八木郷太さん(手前)=水戸市赤塚
ヘルパーの介助を受けて米国での研修に挑戦する八木郷太さん(手前)=水戸市赤塚


首から下に重い障害がある茨城県水戸市の八木郷太さん(28)が、米国での海外研修に挑戦する。障害者の権利擁護が進む同国で、障害者運動や障害者の権利獲得などについて学ぶ。滞在時のヘルパー費用をクラウドファンディング(CF)で募ったところ支援金が続々と集まり、目標額の500万円を突破した。

「障害があっても海外へ行ける。自分が前例になることで他の障害者の希望になりたい」

八木さんは中学3年の時、柔道の練習中のけがが原因で首から下を動かせなくなり、現在は24時間ヘルパーの介助を受けながら生活している。また、障害者の自立を支援する団体「自立生活センターいろは」(同市)で活動し、障害のある人が地域で暮らせるよう支援に取り組んでいる。

米国では、カリフォルニア州の自立生活センターの関係者と一緒に活動する。米国は1990年、世界で初めて障害者差別を禁じた「障害のあるアメリカ人法(ADA)」を制定。同法を基に、街のバリアフリーや雇用、教育などの面で障害者の権利保障が充実している。

■水戸市も後押し
渡米は10月の予定。約1年滞在する。ミスタードーナツを運営するダスキンの社会貢献活動「障害者リーダー育成海外研修派遣事業」からの補助金を活用する。ただ、八木さんにはヘルパーの支えが必要。日本からもヘルパーが駆け付けるが、現地で雇うヘルパーへの支払いは自己負担になる。その費用として今回のCFで募った500万円などを充てる。

渡米の実現は、水戸市の判断も大きかった。八木さんは普段、1人では行動が難しい人を支える障害福祉サービス「重度訪問介護」を利用し、ほとんど自己負担なくヘルパーを利用している。同サービスの運用で、市は「1年未満であれば海外転出届の必要はなく、日本の居住者とみなせる」とし、八木さんの米国滞在中の継続利用を認めた。

■先進事例の還元
市障害福祉課は「ハンディがありながら夢に向かう若者を応援したい」と話す。八木さんは市のバリアフリー環境整備推進協議会の委員も務めており、帰国後は海外のバリアフリー体験を、先進事例として市に還元したい意向だ。CFの返礼に関しては、研修中の動画を撮影して配信するほか、帰国後に予定するオンラインでの報告会への招待を考えている。

八木さんは「障害者支援のバトンを引き継ぎたい。目の前の壁を一つでもなくして、これから生まれてくる障害のある人たちが大変な思いをしないで暮らせる社会、仕組みづくりがしたい」と語る。

CFは次の目標額を700万円に設定し、23日までCFサイト「キャンプファイヤー」http://camp-fire.jpで続ける。



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