隠れキリシタン 演劇に 実行委「那珂湊の歴史知って」 ひたちなかで24、25日 茨城
茨城県ひたちなか市民の有志らでつくる那珂湊野外劇実行委員会(磯崎満代表)は24、25の両日、同市青葉町の市文化会館で、江戸時代初期に仙台藩から湊村(現同市)に移住し、隠れキリシタンとなった人々を題材とする演劇を上演する。出演者は本番を目前に猛練習を重ねており、磯崎代表は「那珂湊地区の歴史を知ってほしい」と期待を込める。
演劇は2018年に始まったイベントで、2年ごとに開催。コロナ禍で中止となった20年を除く18年と22年は野外劇だったが、3回目となる今回は猛暑による出演者や観客の安全を考慮し、屋内で実施する。
タイトルは「きみに伝える物語-隠れキリシタンとひたちなか」。仙台藩主・伊達政宗が江戸までの航路を開くための拠点として湊村に移住させたキリシタンが、幕府の出したキリスト教禁止令で隠れキリシタンにならざるを得なかった歴史や湊村の人たちとの関わりを描く。
市内には那珂湊地区を中心に、聖母マリアに似た子安観音像や、地蔵の持つ錫杖(しゃくじょう)に十字があしらわれるなど、隠れキリシタンの痕跡が多数残っている。
演劇には未経験者を含めて市内外の40人が出演。初めて参加する同市栄町の湯浅英起さん(65)は「当時の様子が伝わるように演じたい」、同県日立市の市立日高小4年、大国陽花里さん(9)も「しっかり声を出して自分の演技をし、成功させたい」と意気込んでいる。
出演者は、4月から市内で毎週土日に練習を重ねてきた。演劇の基本的な動き方から始まり、通し稽古をしながら各シーンごとに出演者の動き方やせりふ、発声の仕方を確認するなど、本番さながらの熱のこもった練習が続く。
18、22年に続いて演出を務める黒澤寿方さんは「個々の出演者の魅力を高めながら全体のレベルを引き上げ、来場者に喜んでもらえる演劇にしたい」と指導にも熱が入る。
実行委の磯崎代表は「多くの人に見てもらい、那珂湊のまちに誇りを持ち、まちの未来を考えるきっかけになってほしい」と来場を呼びかけている。
24日は午後7時から、25日は午後3時からで、入場無料。