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白基調、自然体の作陶 日本で40年 桜川のローランドさん 「絵付け、成形楽しい」 茨城

作品を手にする陶芸家のローランドサクセさん(右)と妻のひろ子さん=桜川市門毛
作品を手にする陶芸家のローランドサクセさん(右)と妻のひろ子さん=桜川市門毛


茨城県桜川市門毛の陶芸家、ローランドサクセさん(81)が、日本で作陶に取り組み始めて40年以上たつ。傘寿を超えた今も自宅隣の工房で年に数回、自ら築いた窯で制作している。白地を基調とした個性あふれる作品は「唯一無二」と評される。ローランドさんは「絵付けや成形など何でも楽しい。特別なことはなく、ただやりたいだけ」と、あくまでも自然体だ。

ローランドさんは1942年、独ミュンヘン生まれ。インドネシアで同国の伝統的なろうけつ染め「バティック」を学んだ後、71年に来日。翌72年に同県笠間市内の工房で陶芸の勉強を始めた。いったん帰国後、アジア各国を巡り、80年に桜川市(旧岩瀬町)に拠点を構えた。

焼き物に興味を持つきっかけは、台湾の美術館で白磁を見て衝撃を受けた影響という。20代半ばに日本中を旅した経験があったが、陶芸を学ぶため再び来日した。笠間の地を選んだのは「人と雰囲気が良かった」と振り返る。

工房は山懐に抱かれた自然豊かな場所にある。窯での焼成は当初、「なかなかうまくいかなかった」と試行錯誤の連続だった。苦労を重ね、85年に笠間市内で初めて個展を開いた。

独自に技術を高め、作陶に集中してきた。作業は全て1人で取り組む。土の管理、成形、釉薬(ゆうやく)を施し、窯で年3~4回作品を焼く。作品は鮮やかな白地を基調としたコーヒーカップやポット、皿、鉢、花入れ、壁かけ、オブジェなど多彩。ダイナミックで個性豊かな作品を生み出してきた。

これまで東京都をはじめ北海道、九州、高知県など各地のギャラリーで個展を開いた。年齢を重ねた今も、茨城県水戸市や笠間市、栃木県小山市で開く。50年以上寄り添う妻のひろ子さん(74)は「何があっても動じない人。あまり周囲に惑わされず、わが道を行っている」と話す。

水戸市新荘の「稽古場 風」を運営する堀籠貴子さん(72)は、ローランドさんと35年以上の交流を持つ。今年7月、2年ぶりに風で個展を開催。各地からファンが訪れたという。人柄について、堀籠さんは「ローランドさんは自由。揺るぎなく自分の道を歩んでいる」と語り、作品も「自由が表れている。誰とも似ておらず、唯一無二」と評価している。

日本で暮らして約50年。人生の大半を桜川市で過ごす。「ここから見える景色や地元の人が好きで長く門毛にいられる」と述べる。制作意欲も旺盛で「体が動かず無理となるまで作り続けたい」と語った。



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