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処理水放出1年 茨城県内漁業者、なお警戒 風評被害に注視

大洗沖で捕れたシラスを水揚げする小林英樹さん(奥)=大洗漁港
大洗沖で捕れたシラスを水揚げする小林英樹さん(奥)=大洗漁港


東京電力福島第1原発の処理水海洋放出から1年がたった。福島第1原発から3キロ圏内の海水に含まれる放射性トリチウム濃度の最大値は1リットル当たり29ベクレル。世界保健機関(WHO)の飲料水基準(1万ベクレル)を大きく下回っているが、茨城県内の漁業関係者は引き続き、海水への影響や風評被害への警戒を続けるとしている。

東電や水産庁、環境省などが実施している周辺海域のモニタリング(監視)は、大半が検出できる下限値未満。最大値が検出されたのは今年5月3日だった。昨年10月に茨城県が独自に実施した茨城県沖6カ所の測定でも、いずれも国の基準を下回った。

基準値は下回ったものの、茨城沿海地区漁業協同組合連合会(茨城漁連)は「影響が全くなかったわけではない」と指摘。県によると、県産の海産物については放出直後、香港を含む中国向けを中心に取引停止が複数確認された。ただ、その後は目立った報告がなく、同県大洗町の漁師、小林英樹さん(46)は「放出直後はどうなるか不安だったが、今は影響は見られない」と話した。

処理水放出の安全性について、国の原子力委員会は今年6月に公表した原子力白書で、国民の間に「一定程度浸透している」と評価し、国や東電に対して不安の声に応える取り組みを求めた。

茨城漁連の飛田正美会長は、この1年間の動きについて「中国などによる輸入規制を除いては大きな問題が起きることなく経過している」としながらも、今後も注視していく方針を示した。



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