次の記事:ヨーカ堂 茨城県撤退 最後の竜ケ崎店閉店へ 「残念」「寂しい」 

東海第2の安全対策、完了2年余延期 防潮堤造り直し 茨城県知事「適時情報を」

東海第2原発の安全対策工事について終了時期の延長を説明する日本原子力発電の坂佐井豊東海事業本部長(右)=県庁
東海第2原発の安全対策工事について終了時期の延長を説明する日本原子力発電の坂佐井豊東海事業本部長(右)=県庁


東海第2原発(茨城県東海村白方)の再稼働に必要な安全対策工事について、日本原子力発電(原電)は23日、終了時期を9月から2年3カ月延長し、2026年12月とすると発表した。延期は3回目。不備が見つかった建設中の防潮堤の基礎部分は実質的に造り直し、柱の中央部の補強、地盤改良、基礎の追加により強度を確保する方針を示した。

原電は同日、原子力規制委員会に安全対策工事の工事計画変更届を提出。原子力安全協定を結ぶ県と東海村をはじめ、原発周辺15市町村に書面で報告した。

工事の延長を巡り、変更時期を早期に示すべきとしてきた茨城県の大井川和彦知事は「鋼製防護壁の不具合への対応を含め、安全性を高める工事を着実に実施し、県や市町村、県民に対し適時適切に情報提供し、信頼を得られるよう努めてほしい」とのコメントを出した。

原電は同日、県庁で会見を開き、工期変更の理由などを説明した。不備の部分を地中に残しながら基礎の構造として扱わず、代わりに鉄骨を使った中央部の補強、セメントによる地盤改良、鋼管矢板を増やして基礎幅を広げる三つの対策を組み合わせるなどし、津波への強度を確保する。

現行計画の工期が迫る中での発表に、工事の規模から「全容を調査するのに時間を要した」と釈明。原子力規制庁が6月、基礎部分を建て直しを含めて検討するよう原電に要請したことを受け、対策の方向性を決めたという。

原電は近く開かれる原子力規制委員会審査会合で対策を説明する予定。原電東海事業本部の坂佐井豊本部長は「不備の部分を残しつつ、補強工事を行うことが、最も安全性の高い工法である」と強調した。

東海第2では昨年6月、防潮堤の鋼製防護壁を取り付ける基礎部分の工事で、柱の強度を向上させるためのコンクリートが複数箇所で充塡(じゅうてん)されていない不備が判明。骨格となる鉄筋の変形も確認された。

東海第2の工期延長は3回目。20年1月、設備工事の詳細設計をまとめるに当たり、工期を22年12月に変更。同2月にはテロ対策用施設の設置計画許可に伴い、全体の工期が拡大したとして、終了時期を今年9月までに再延期した。

工事費は従来の2350億円から変わらず、「(不備は)施工上の問題」として業者と協議する。再稼働の時期については「未定」とした。周辺住民に対し、来月から状況説明会や戸別訪問を行う予定で、坂佐井本部長は「3回目の延期となり、地元には心配をおかけしている。丁寧に説明していく」と謝罪した。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース