《解説》茨城・大洗町長に国井氏再選 漏水防止へ水道管更新急務
27日告示の茨城県大洗町長選は、現職の国井豊氏が再選した。1期目の国井氏の実績を町民が評価する機会だったが前回に続き無投票に終わった。
実績として、ふるさと納税による町への寄付の増加が特筆される。2023年度の寄付額は県内7位の14億4千万円に達し、20年度比で約11倍になった。得た寄付は、基幹産業の漁業や観光業の振興などの用途に役立てられている。
教育面では英語教育に注力。町内の小中学校4校に外国語指導助手(ALT)を各2人配置したほか、小学5年~中学3年を対象に1対1のオンライン英会話を実現した。23年度は中学3年の英検3級取得率が3割に伸びた。
一方、老朽化した水道管から漏水し、町内全世帯で断水や濁り水が発生した問題では、生活基盤のもろさを露呈させた。国井氏は、町内水道管の総延長のうち約2割を占める旧型の交換加速を「最重要課題」と位置付け、更新完了を当初の20年から10年に縮めると宣言した。しかし、人口減少などを背景に水道料金の増収が見込めない中、莫大(ばくだい)な事業費の捻出が重くのしかかる。今後、工事の進捗(しんちょく)を積極的に町民に開示していく姿勢が不可欠だ。暮らしを揺るがす漏水の再発防止に待ったはない。
町民からは「派手さよりも質の高い観光を」という声も聞こえる。町の声をつぶさにくみ取りつつ、独自色を発揮できるかが問われる。












