《パリ・パラ》兎沢、エール背に跳躍 恩師「楽しんで」 茨城・つくば出身 陸上女子(義足・機能障害T63)
6日に行われるパリパラリンピック陸上女子走り幅跳び(義足・機能障害T63)に、茨城県つくば市出身の兎沢朋美選手(25)=富士通=が挑む。同県土浦市の常総学院高在学中にパラ選手に憧れを抱いて目指した大舞台。7日には女子100メートル(同)にも出場。2021年東京大会でメダル獲得を逃した悔しさをばねに、悲願のメダル獲得を目指す。
兎沢選手は小学5年時に「骨のがん」の一つ、骨肉腫を発症し、左脚の太ももから下を切断。13年の東京大会開催決定や16年リオ大会で活躍する選手に刺激を受け、常総学院高卒業後はパラスポーツ選手を目指して日本体育大に進学した。
高校3年時に担任を務めた教頭の荒井幸恵さんは、進路指導でパラスポーツ選手を目指すと聞かされ、「とても驚いたが、軽はずみなことは言わない子。本気で目指す気持ちが伝わってきた」と振り返る。
その意気込みは17年の同大進学後、結果となってすぐに現れた。走り幅跳びに加え、100メートルでも好記録を連発し、19年世界選手権走り幅跳びで3位を獲得するなど、競技開始から3年足らずで世界のトップ選手へ駆け上がった。
だが、メダル獲得の期待がかかった21年東京大会走り幅跳びでは悔しい4位にとどまった。続く100メートルでも8位に終わり、パリ大会に向けて「この経験を糧に強くなる」と誓った。
そんな兎沢選手に対し、荒井さんは「活躍をしっかり目に焼き付けたい」とエールを送る。大学4年時の教育実習で指導教員だった相沢理沙さんは大会直前、電話で「大舞台を思い切り楽しんで」と激励したという。
走り幅跳びの4メートル82、100メートルの15秒75はいずれもアジア記録。5月の世界選手権では両競技ともに銀メダルを獲得するなど、東京大会後に重ねてきた練習の成果を発揮している兎沢選手。「5メートルジャンプが達成できるよう挑戦する」。大会前に掲げた目標を実現し、3年前の雪辱を果たすつもりだ。