「塔鋺形合子」の蓋 初出土 土浦・中道南遺跡 香の容器 一般集落で全国2例目 茨城
茨城県教育財団は5日、県内で初めて出土した「塔鋺形合子(とうまりがたごうす)」の蓋(ふた)を報道向けに公開した。仏具の一つで、主に香を入れる容器として使われたものの一部。古墳時代から平安時代まで断続的に営まれた集落跡「中道南遺跡」(同県土浦市)から出土した。塔鋺形合子はこれまで、正倉院宝物ほか、法隆寺献納物や日光男体山山頂遺跡出土物など25点が確認されており、今回で26点目になる。一般集落からの出土は、小島・柳原遺跡群(長野県長野市)に続き全国2例目。
同財団によると、塔鋺形合子は「蓋」と、台脚部分に当たる「身」で一組。国内では法会などで香を収納する香合として使われ、インドや中国では骨を納める舎利(しゃり)容器としても使用例がある。
今回出土したのは蓋部分で、高さ7.7センチ、直径7.8センチ、重さ245グラム。7月22日に中道南遺跡の西暦900年前後のものとみられる竪穴建物跡で見つかった。
同遺跡は、土浦市南部の標高13~25メートルの台地にある。国道6号牛久土浦バイパス建設事業に伴い、県教育財団が今年1~8月末まで、蓋の発見された地点を含む同遺跡の約5400平方メートルを調査した。
同財団の担当者は今回の出土について「年代や出土場所がしっかり分かっていることは考古学的にとても重要」と強調。「なぜ一般の集落跡から出土したのかは最大の研究テーマになる」とし、今後の分析と考察に意欲を示した。
出土した蓋は今月8~14日の期間、茨城県城里町北方の県埋蔵文化財センター(いせきぴあ茨城)で一般公開する。時間は午前9時~午後4時半まで。入場無料。