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「常陽」年明け着工へ 大洗町 再稼働「安全最優先」 工事事前了解 茨城

高速実験炉「常陽」の安全対策工事の事前了解書を日本原子力研究開発機構大洗研究所の吉武庸光所長に手渡した大洗町の国井豊町長(右)=町役場
高速実験炉「常陽」の安全対策工事の事前了解書を日本原子力研究開発機構大洗研究所の吉武庸光所長に手渡した大洗町の国井豊町長(右)=町役場


茨城県と大洗町は6日、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速実験炉「常陽」(同町成田町)の再稼働に必要な安全対策工事の開始を了解した。原子力機構は工事計画の認可後、早ければ2025年初めごろから本格的な工事に着手し、26年度半ばの再稼働を目指す。

県と町は同日、原子力機構に事前了解書を交付。運転再開について事実上、容認した。

国井豊町長は町役場を訪れた原子力機構大洗研究所の吉武庸光所長に直接文書を手渡し、「安全が最優先。100%の安全を構築し、責任感を持って事業に取り組んでほしい」と述べた。

「常陽」は国内でただ一つの高速炉。原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜた「MOX燃料」を使用する。1977年に運転を開始したが、2007年からトラブルで停止している。安全対策は昨年7月に原子力規制委員会の適合審査に合格していたが、工事を始めるには原子力安全協定に基づき県と町の「事前了解」が必要だった。

原子力機構は、協定外となる地盤改良などの工事にすでに着手。今後の本格工事では、原子炉停止盤を中央制御室の外に設置するなど監視機能強化のほか、原子炉停止機能の多重化、放射性物質の外部放出防止対策に取り組む。

再稼働後に想定される研究開発のうち、放射性医薬品の原料になる放射性同位元素(RI)の製造は、ほぼ全量を輸入に頼っているため、早期の国産化が求められている。県や町は「医療関係者やがん患者らの期待は大きい」「町を世界に発信できる」と期待を寄せた。

吉武所長は「再稼働に向けてしっかりと工事を進めていく。住民には分かりやすい資料の提供などで、安全対策を丁寧に説明していく」と話した。



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