茨城・県北大雨1年 2級水系、8割が本復旧 残り11カ所、年度内に 27世帯50人、避難続く
茨城県の県北地域を襲った記録的な大雨から8日で1年を迎える。被害が集中した県北地域の「2級水系」75カ所の8割超で本復旧が完了した。応急的な復旧措置となっている残りの河川も本年度中に本復旧が完了する見通し。道路の本復旧に向けた工事が進む一方、被災した27世帯50人は今も公営住宅での避難生活を余儀なくされている。
昨年9月の大雨により、同県の日立、高萩、北茨城の3市を流れる15本の2級河川(県管理など)やその支川で、護岸やのり面の崩落などの被害が75カ所で発生した。
県などがコンクリートブロック施工などによる本復旧や、土のうの設置などの応急的な復旧措置を行った。これまでに計64カ所で本復旧を終えている。
応急措置状態なのは宮田川、鮎川、平沢川、木皿川など日立市内や北茨城市内の計7河川11カ所。県などによると、出水期に増水による工事への影響が少なく、新たな被害がなかったため、本年度中に本復旧が完了する見通しという。
被災した75カ所以外では、土砂堆積や樹木の繁茂で流量が低下し「早急な対策が必要」と判断された34カ所は、しゅんせつや伐採などの対応が完了。大雨で越水が確認された県管理の里根川(北茨城市)、東連津川(日立市)、鮎川(同)は、6月から3基の河川監視カメラの運用を始めた。
市管理の河川では、日立市で被災した27河川の約6割で、護岸の再構築や堆積した土砂の撤去など復旧工事が完了。本年度中に全ての工事を終える予定という。高萩市はすでに完了、北茨城市もほぼ完了した。
日立市では約6割の河川が溢水(いっすい)したことから、今後の治水対策の方針を定める「流域治水計画」を本年度中に策定。上流での調整池の整備など、流域全体で水害に備える対策について、国や県の協力も得て検討を進めている。
県のまとめによると、建物被害は1909棟で、このうち住宅被害は全壊が3市4棟、半壊が4市582棟。床上浸水は5市村38棟、床下浸水は11市町村1016棟に上った。日立、高萩、北茨城3市で県全体の9割近くを占める。
現在も日立、高萩、北茨城、ひたちなかの4市の計13世帯25人が県営住宅で避難生活を送る。ひたちなか市を除く3市は、計14世帯25人に市営住宅や借り上げた民間住宅を提供している。
入居期限は北茨城市が今月末、県が9~10月。日立市は1年間延長して来年9月までとし、県は条件を満たした希望者の継続居住を認める方針。
県管理の国道と県道はこれまでに4路線7カ所が応急措置の状態。県は本年度内に本復旧を完了させる見通しで、「着実に工事を進め、住民の安心につなげたい」としている。