毎朝のラジオ体操10年 取手・戸頭町会 延べ8万人超、交流の場に 茨城
茨城県取手市戸頭地区の戸頭町会が毎朝のラジオ体操を始めて9月で丸10年を迎えた。高齢化する住民の健康づくりを目的に始まり、正月も休まず、回数は3000回を超えた。朝の日課はコミュニティーの場にもなっている。
戸頭地区は1970年代に関東鉄道常総線の戸頭駅の開業とともに住宅開発が進み、大規模な団地や一戸建て住宅が立ち並ぶ。首都圏のベッドタウンとして同年代に人口が急増し、同市の象徴とも言える地域の一つだ。ただ、半世紀が経過して市内の中でも高齢化が進んでいる。
住民の健康増進を図ろうと、同町会が2014年9月8日にラジオ体操を始めた。地区内の4カ所の公園で一斉に毎朝7時に実施している。荒天や新型コロナウイルス禍で中止した約400日間を除くと、10年間で3千回を超え、参加人数は延べ8万人超に上った。
同町会によると、これまで参加者から寄せられた感想は「肩こりが緩和された」「腰の痛みが緩和された」と健康面の効果に加えて、「朝一番で友人とおしゃべりすることで1日楽しく過ごせる」などとコミュニティーの場にもなっている。家庭菜園で収穫した野菜をお裾分けする参加者も見られる。
今月5日の朝、会場の一つ「えのきど公園」に約40人の住民が集まった。最年長の入江一司さん(91)はラジオ体操が始まった時の呼びかけ人の一人。入江さんは「参加者同士であいさつすることで、気軽に話し合える仲になった。ラジオ体操は1日の楽しみ」と話す。
ラジオ体操の音源を流す機器を持ち寄るなど「世話人」代表の小笠原祥二郎さん(82)は「体力向上だけでなく、心の安らぎの場としても役立っている。次の10年に向かってこれからも続けたい」と意気込む。今後は世話人の後継者確保にも取り組んでいく。