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常総水害二審始まる 住民ら「国の管理不備」 茨城

常総水害訴訟控訴審の第1回口頭弁論後に会見する住民側弁護士ら=東京・霞が関の司法記者クラブ
常総水害訴訟控訴審の第1回口頭弁論後に会見する住民側弁護士ら=東京・霞が関の司法記者クラブ


2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防決壊などによる浸水被害が起きたのは国の河川管理の不備が原因として、茨城県常総市の住民らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が9日、東京高裁(中村也寸志裁判長)で開かれた。住民側は「最も危険な箇所の堤防整備を後回しにした」と主張。国側は「下流から優先的に築堤護岸工事を進めていた。国に法的責任はない」と反論した。

常総市では当時、鬼怒川沿いの上三坂地区で堤防が決壊。上流の若宮戸地区など市面積の約3分の1が浸水、5000棟以上が全半壊した。

22年7月の水戸地裁判決は、鬼怒川の水があふれた若宮戸地区では「砂丘が自然の堤防になっていた」と指摘。「国は開発に管理者の許可が必要な河川区域の指定を怠り、太陽光発電事業者による掘削で危険な状態になった」とし、9人への計約3900万円の賠償を命じた。一方、堤防が決壊した上三坂地区については「河川管理の瑕疵(かし)があったとは認められない」と住民側の訴えを退けた。

この日の控訴審で国側は、若宮戸地区について、砂丘は堤防と同程度の強度を備えておらず、「河川区域に指定しなかったことは違法でない」と主張。仮に河川区域に指定して掘削されなかったとしても「溢水(いっすい)は回避できなかった」と述べた。

上三坂地区については、堤防の質や高さを評価した治水安全度を念頭に、原則として下流から上流へと整備を進めてきたと反論し、改修計画は「格別不合理とはいえない」と述べた。

住民側は、若宮戸地区の砂丘は堤防の役割を果たしていたと反論。上三坂地区についても「鬼怒川下流域のうち堤防高が最も低く、計画高水位を下回る危険な場所だった」と主張した。



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