農地貸借 茨城県1位 関東近隣10都県 バンク活用進む
茨城県内の農地の貸し手と借り手をつなぐ「県農地中間管理機構」(農地バンク)が2023年度、農家などから借り入れた農地は計2237ヘクタール、耕作者に貸し付けた農地は計2574ヘクタールで、いずれの面積も関東農政局管内10都県で1位となったことが10日、同機構のまとめで分かった。創設当初の10年前に比べ借り入れ面積は5.9倍、貸し付け面積は7.4倍に増加。認知度が高まり、活用が進んだとみられる。
農地バンクは高齢化や離農などを理由に耕作されなくなった農地を借り入れ、安定的な農業経営を行う担い手などに10年以上の長期にわたって貸し付け、農地の集約を進める。各都道府県に一つあり、茨城県は県農林振興公社(水戸市)が県から指定を受けている。
同機構のまとめによると、23年度の借り入れ面積は対前年比で1.7倍、貸し付け面積も1.4倍に増えた。増加の理由に「農業者の相談窓口として、市町村に働きかけてきた効果が出てきたのではないか」(同機構)とみる。貸付先の経営体数(個人・法人)は1842に上った。
10都県は関東7都県に山梨、長野、静岡の3県。
県によると、茨城県の23年度の担い手への集積面積は1835ヘクタールで、北海道に次いで全国2位。集積率は41.3%で、10年間で着実に増加している。
だが、全国平均の60.4%を下回っており、県農業経営課は「(茨城県は)販売農家数や兼業農家が多く、担い手の割合が低いことが要因と考えられる」と分析する。「県農地中間管理事業の推進に関する基本方針」は担い手への農地の集積目標値を30年度に66%を掲げている。
農業経営基盤強化促進法の改正を受け、来年4月以降は農地の貸し借りは原則、農地バンクに一本化される。このため来春以降、農地バンクの利用がさらに増える見通しだ。本年度中に、将来の農地利用を明確化する「地域計画」を全国の市町村で策定する。県内では現在、策定へ向けた作業が進められている。
同機構は今後、市町村が策定した地域計画の10年後の耕作者を示した「設計図」の実現に向け、農地の貸借を進める。「地域計画には期待している。農家などから信頼されるよう、管理体制をさらに充実させたい」としている。