外国人に防災かるた 英語併記、やさしく解説 つくばの防災士考案 茨城
外国人に防災意識を高めてもらおうと、簡単な日本語で書かれた「防災かるた」が今月、発売された。考案したのは茨城県つくば市在住の防災士、水谷浩子さん(64)。英語と日本語を併記し「停電」「復旧」など外国人には難しい日本語もやさしく解説。「遊びながら防災知識を身に付けて」と活用を呼びかけている。
商品名は「やさしいにほんごで ぼうさいかるた」(白泉社)。読み札の文言だけでなく、絵札のイラストも水谷さんが自ら描いた。
かるたでは、災害時に欠かせないハザードマップや所在を知らせるホイッスルの準備をはじめ、給水車の存在や避難時の心構えなどを呼びかける。近隣住民との声のかけ合い、避難訓練への参加の大切さも説明しており、すぐに役立つ防災情報を盛り込んだ。
水谷さんは、簡単な日本語でおしゃべりする同市の外国人支援サークルの一員。2011年の東日本大震災を契機に防災士の資格を取得した。
サークル活動を通して、交流のある外国人の母親から「日本は地震の多い国。でも、何を用意しておけばいいのか分からない」と悩みを打ち明けられたことがかるた制作のきっかけとなった。自身もスイスで子育てを経験し、「当時は夫以外に頼れる人がおらず、とても不安だった」と振り返る。
22年春ごろから1人でかるた制作を開始。読み札の文言は、防災士の知識を生かして考えた。同年末ごろ、外国人対象の防災講座で完成したかるたを使って遊んだところ好評だったため、その後も市内の防災イベントなどで披露してきた。
かるたのうわさが広まり同社で商品化が決定。防災科学技術研究所(同市)の研究員による監修や米国在住の知人や大学教授らに英文のチェックを受けたかるたを市内の全小中学校に寄贈しようとクラウドファンディング(CF)も実施。すでに当初の目標は達成したが、全国の自治体や学校にも送ろうとCFを継続し、13日までに目標額117万円を超える約140万円を集めた。
水谷さんは「かるたで学べる防災知識はすぐに実践できる内容。外国人だけでなく、日本人でも楽しく学べる。どんどん広めていきたい」と話している。