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全国新酒鑑評会 種麹「清麗」で金賞 廣瀬商店(茨城・石岡)大吟醸 白菊 県と企業共同開発

金賞受賞酒「大吟醸 白菊」を手にする廣瀬商店八代目の廣瀬慶之助さん(右)と杜氏の久保田通生さん=石岡市高浜
金賞受賞酒「大吟醸 白菊」を手にする廣瀬商店八代目の廣瀬慶之助さん(右)と杜氏の久保田通生さん=石岡市高浜


茨城県で研究・開発された種麹(こうじ)を使った清酒が、2023酒造年度(23年7月~24年6月)の全国新酒鑑評会で金賞に輝いた。受賞したのは廣瀬商店(同県石岡市)の「大吟醸 白菊」。県が共同研究で支援した種麹を使っての金賞は、初の快挙という。同社八代目の廣瀬慶之助さん(51)は「地元産のもので造れるのはありがたい」と話す。

麹は昨年5~8月に開発され、廣瀬商店は今年1~3月の醸造で使用した。麹はコメのデンプンをブドウ糖に分解する役割を持つ。種麹は、日本酒の醸造過程で、蒸した酒米全体に振りかけ、麹菌を増やすためのスターターのようなものだ。酒の味わいを左右し、酒造りの要とされている。

開発・研究を行ったのは、県産業技術イノベーションセンター(同県茨城町)と、種麹を製造する日本醸造工業十王工場(同県日立市)。同社が開発した清酒用の種麹「清麗」を、同センターが成分分析で支援した。分析では、アミノ酸度や香りの成分などを測定し、酒の特徴を数値で把握した。

同社によると、清麗はプロテアーゼと呼ばれるタンパク質の分解酵素を抑えたことで、苦みや渋みを少なくし、すっきりとした味わいにした。加えて、酒の香りや甘みに関わり、ブドウ糖の糖化を促進するグルコアミラーゼを高くした。青リンゴ系のフルーティーな香りが強く出る。

研究に携わった同センターの國谷宏輔さん(27)は「県内企業の役に立ててうれしい。清麗の特徴をさらに広めていきたい」と話した。

廣瀬商店の杜氏(とうじ)を務める久保田通生さん(56)は「新しいことに挑戦しようと思った」と、清麗を採用した理由を明かす。「白菊」は「香りと味のバランスが良い」と強調する。

廣瀬さんは今後も新しいものを柔軟に取り入れる方針に触れ、「伝統を守りつつ進化する酒造りをしたい」と展望を語った。受賞酒は同社の直売所か、ホームページで購入できる。

同鑑評会は、酒類総合研究所と日本酒造組合中央会の共催。1911年から始まり、今年で112回目。全国各地の酒蔵から828点が出品された。茨城県からは、「白菊」を含む3点が金賞を受賞。清麗を使った別の蔵の清酒1点も入賞した。



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