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「困難を楽しみ乗り越えて」 水戸一高・付属中 尾身茂さん招き講演 コロナ対策、内情明かす 茨城

壇上から降りて中高生たちと質疑をしながら講演する尾身茂さん=水戸市千波町
壇上から降りて中高生たちと質疑をしながら講演する尾身茂さん=水戸市千波町


将来、専門家やリーダーとして活躍する人材を育成しようと、茨城県立水戸一高・付属中は13日、同県水戸市千波町のザ・ヒロサワ・シティ開館で、新型コロナウイルス対策に当たる政府の分科会会長などを務めた尾身茂さんを招いた講演会を開いた。尾身さんは生徒たちに「好きなことでも真面目に取り組めば困難にぶつかる。困難を楽しんで乗り越えてほしい」と挑戦する尊さを呼びかけた。全校生徒や教職員約千人が参加し、熱心にメモを取る生徒も見られた。

講演は同校が実施する「心に火をつけるフォーラム」の一貫で今回で17回目。同校が推進するリーダー人材の育成に向け、生徒たちのキャリア意識向上を目的に社会の第一線で活躍する人物を招き、経験を生徒たちに紹介する。

尾身さんは、世界保健機構(WHO)に勤務した当時の経験を紹介。ポリオ(小児まひ)の根絶に尽力した経験のほか、ワクチンの普及を進める中での資金不足や紛争などの課題に対峙(たいじ)したが、「人生の中で一番時間をかけ、一番やりがいのあった仕事」と強調した。

新型コロナウイルス対策については、2009年にあった新型インフルエンザの世界的大流行で教訓を得た他国と比べ、PCR検査の許容量や医療情報のデジタル化が不十分だったことを反省点に挙げ、「ハンディキャップを背負って始まった」と内情を明かした。

政府への最初の提言は、既に地域に感染が広がっていることを国民に知らせなければならない「責任の重大さ」だった。尾身さんは「政府から多少、煙たがられたとしても、知らせないと国民からの信頼を失う」と判断の経緯を説明。「人間関係も一緒。後から修復できるが、人間関係より大事なこともある」と生徒たちに呼びかけた。

質疑応答の時間も設けられ、「失敗した時の心の切り替え方は」の生徒の問いに、尾身さんは「失敗した理由を別の視点から見ると、相対化でき、学ぶ契機になる」と答えた。

高校3年の小此木祐星さん(17)は「堅い人という印象だったが、冗談も話してユーモアのある人だった。今日聞いた話をどこかで役立てたい」と話した。



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