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「あやめ笠」作り手確保へ 県郷土工芸品 茨城・潮来で市民講習会

高橋トシ子さん(左)らのアドバイスを受けながら風鈴笠を製作する参加者=潮来市辻
高橋トシ子さん(左)らのアドバイスを受けながら風鈴笠を製作する参加者=潮来市辻


茨城県郷土工芸品に指定されている「あやめ笠(がさ)」への理解を深めてもらい、後継者の確保につなげることを目的に、同県潮来市シルバー人材センター(同市辻)は9日から13日まで、市民を対象に「あやめ笠づくり講習会」を開催した。定員上限の男女10人が参加し、講師を務めた高橋トシ子さんら6人から手ほどきを受けた。

あやめ笠は、イグサで編んだ笠で、元々は農作業時に日よけや雨よけに用いられていた。現在、潮来市では、水郷潮来あやめ園などで運航されるろ舟の娘船頭が着用しているほか、ろ舟を利用する観光客にも貸し出している。また、水郷潮来あやめまつり期間中には、あやめ園内で実演販売も行っている。サイズは、大(直径43センチ)中(直径35センチ)小(直径23センチ)、花笠(直径24センチ)、風鈴が付いた「風鈴笠」(直径15センチ)の5種類。

かつて、10人ほどいた作り手は高齢化などで一時、3人まで減少したが、年2回実施している「あやめ笠づくり講習会」の効果もあり、現在は6人に回復した。一つ一つ手作りのため、大量生産はできず、大きいものは作り手1人当たり1日1個、風鈴笠は3個までで、昨年は、同県行方市内で開かれた祭事で踊り子用に30個製作するなど、県内外から同センターに製作依頼が寄せられているという。

今回の講座では、参加者全員が笠づくり初挑戦のため、基本的な編み方を学んだ後に、玄関先や軒先につるす「風鈴笠」づくりに取り組んだ。内山静子さんと関根敏子さんは「笠を編みながらイグサが足らない部分に『たし草』の束を差し込んで結んでいく。うまく差し込まないと束がバラバラになってしまって難しかったが、形になっていくのは楽しい」と笑顔を見せた。

講師の一人で、笠づくり歴約15年の高橋さんは「皆さん初めての笠づくりだが覚えも早く、手先が器用。潮来の歴史や伝統を感じてもらうことと、今回の参加者の中から、後々、あやめ笠の作り手が誕生してくれれば」と期待した。次回の講習会は、来年2月に予定している。



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