ユーモア交え 気象を解説 台風や寒波、動画人気 筑波大4年の森本さん 茨城
気象予報士の資格を持つ筑波大生(茨城県つくば市)が気象解説の動画をユーチューブで配信している。コロナ禍の2021年に開始後、台風や寒波などについてユーモアを交えながら説明する姿が人気を集める。今年8月に九州・四国地方などに上陸した台風10号の動画では配信13本で再生回数は270万回を超えた。
配信者は愛知県出身で同大4年の森本啓介さん(21)。地球学類で天候や地層などを研究しながら動画配信を続ける。
2歳の頃に地元で遭遇した大雪に感動して以来、天気予報や気象情報にのめり込む「天気オタク」となり、予報を見ては「寒波が来る」と喜ぶ少年時代を送っていた。
気象予報士の資格を取得したのは高校3年時。その後入学した同大ではコロナ禍でオンライン授業が続いていたこともあり、21年夏にユーチューブで動画配信を始めた。動画編集の技術は独学で習得した。
配信動画では中学時代からのあだ名だった「走る人参(にんじん)」として活動。当初は自身の備忘録として雨雲レーダーや気温など記録中心の動画だったが、台風の解説動画を上げると再生回数が急増し、「分かりやすい」とコメントも寄せられた。他の配信動画では当時、台風の危険性をあおる内容が目立っていたこともあり、気象予報士の知識に「需要があるかもしれない」と解説動画の配信に乗り出した。
動画制作時に心がけているのは「友人に話すように説明する」。気象用語をかみ砕いた表現で伝えることで、視聴者から「シンプルで情報がまとまっている」「天気の例えが面白すぎ」と高評価を集めるようになった。一方で、災害時は真面目な口調に切り替えるようにしており、「(視聴者が)『危険なんだ』と判断するきっかけにしてほしい」と語る。
将来の目標は「Z世代を代表する気象予報士」だ。現在は、限られた時間内で予報解説から避難の判断を一貫して行う気象防災のスペシャリスト「気象防災アドバイサー」の研修も受講中。進学予定の大学院では地球規模の気象を研究し、さらに知見を広めるつもりだ。