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茨城県産禁輸撤廃に期待 日中再開合意 今後「慎重に見極め」

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東京電力福島第1原発の処理水を巡り、日本と中国が海洋放出の監視態勢強化を踏まえた日本産水産物の輸入再開で合意した。茨城県内の水産業関係者は福島事故から13年以上続く茨城県産の禁輸撤廃の可能性に期待感を示す。一方、近年は輸出実績がなく、一方的に禁輸措置を取った中国への不信感から「今後の展開を慎重に見極めたい」とする声も多い。

中国は福島事故に伴い、2023年8月の処理水の海洋放出以前から茨城県を含む10都県の水産物を含む食品や飼料の輸入を停止してきた。一方、香港は日本政府が放出方針を決めた同年8月22日、新たに10都県の水産物を禁輸措置とした。

同県漁政課はこうした状況を踏まえ、今回の合意について「輸出に関わる水産物が全面解禁される方向に進めば」と期待する。香港についても、21年にはタコやイカの加工品など、約7400万円相当の茨城県水産物の輸出があったことから、早期の再開を望んだ。

同県北茨城市の大津漁協の担当者は「一歩でも進むのではないか。輸入再開が確定になればありがたい」。中国が国際的なモニタリングに参加することで「(同国でも)同じ科学的根拠に基づいた情報発信につながるのでは」と話した。

北茨城市平潟町の「あんこうの宿まるみつ旅館」は、香港へのアンコウ料理の輸出が停止している。社長の武子能久さん(48)は「これから香港の店とコンタクトを取る。中国が輸入を再開しないことには始まらない」。輸入再開の合意を喜ぶ一方、政治的な思惑も絡むことから「ぬか喜びはできない」と冷静な姿勢を見せた。

茨城県や大津漁港の担当者、同県内の漁業団体も、同様に「今後の推移を注視する」と口をそろえる。

産地では11年3月の東日本大震災以降、放射性物質検査を継続するなど水産物の安全性を示してきた。同国の輸入再開に対し、北茨城市の漁師で魚料理店主、渡辺栄次さん(74)は「当然の対応」と言葉に力を込めた。



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