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AIで水道管漏水調査 老朽化、優先交換 茨城県が実証実験

茨城県庁=水戸市笠原町
茨城県庁=水戸市笠原町


茨城県は人工衛星による地表面の観測データや水道使用量などの統計情報を人工知能(AI)で分析し、水道管の漏水事故を事前に防ぐ実証実験に乗り出す。県内の水道管は総延長の約15%が既に耐用年数を超えるなど、老朽化が進んでいる。漏水リスクの高い水道管を判断し、優先的に保守や交換を進めることで、効率的な維持管理やコスト軽減につなげる。

観測データや統計情報を基に、AIが水道管の劣化や腐食につながる負荷要因を分析、将来的な漏水リスクや保守に向けた優先順位を判断する。具体的には地表面の温度差、地震や地盤沈下のリスクなど衛星による観測データに加え、標高や傾斜、地質、土壌、世帯数などの統計情報を活用していく。

実証実験は10月半ばまで、同県大洗町内で実施する計画だ。同町では今年3月、水道管が漏水し、町内のほぼ全てに当たる約6700世帯で断水や水が濁るなどのトラブルに見舞われた。町からは敷設する水道管の口径、素材などの情報や漏水・修繕履歴の提供を受ける。

水道管調査は一般的に、「漏水調査士」と呼ばれる専門家が地中の水流音などを参考に異常などを判断した上で、実際に掘削して調べる。データ分析によるリスク判断で、こうした維持管理費用などを抑制する。このほか、実験でAIによる漏水音を判断する仕組みも構築し、調査時の人手不足解消やコスト削減につなげる。

実証は宇宙航空研究開発機構(JAXA)発のベンチャー「天地人」(東京)に委託する。

県によると、水道管の法定耐用年数は40年。県内の総延長約2万5692キロのうち、約4064キロが敷設から40年を超えた。今後も水道管の老朽化が進むことは避けられず、市町村による老朽化対策は緊急を要する課題だ。

県情報システム課は「分析の結果、リスクの低い地域の水道管は、長寿命化対策などでコスト軽減を図ることができる」と指摘。その上で「(実証実験で)水道管の状況を整理し、漏水リスクの高い場所を洗い出す。水道管の維持管理を効率化できればいい」とし、結果を県内市町村に周知することで、導入を促したい考えだ。



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